螺鈿迷宮

螺鈿迷宮

『螺鈿迷宮』（らでんめいきゅう）は海堂尊による新しい医療ミステリーの形を提供している作品で、2006年に角川書店から出版され、2013年に文庫化されました。この物語は、著者の代表作『チーム・バチスタの栄光』から派生した『田口・白鳥シリーズ』の一部として位置付けられ、主に碧翠院桜宮病院の舞台で繰り広げられます。作品の題名には、独特な響きがありますが、それは深層心理や不気味な状況を象徴しているとも言えるでしょう。

あらすじ

物語の中心には、東城大学医学部の学生、天馬大吉がいます。彼は、終末期医療に特化した桜宮病院でのボランティアを引き受けたものの、さまざまな経緯からすぐに入院患者としてその病院に留まることに。彼は放置された死の背後に潜む真実を暴こうと、勤務医や他の入院患者たちとの関わりを通じて、病院の不気味さを感じ取ります。急速に患者が亡くなっていく様子に、桜宮病院に関する疑念が深まります。物語は、医療現場のただ中で、善と悪が交錯し、生命の尊厳に挑戦を投げかけます。

登場人物

• - 天馬大吉：事故で両親を亡くした彼は、東城大学医学部に在籍しながら堕落した日々を送っています。運のない彼の不幸なエピソードは、物語にリアリティを与えています。
• - 白鳥圭輔：桜宮病院へ派遣された皮膚科の医師で、常識を超えた診察法や不審な行動のため、周囲から疑われることになります。
• - 姫宮香織：天馬を入院させた看護師で、周囲に不吉な噂をもたらす存在として描かれています。
• - 桜宮巌雄：病院の院長で、彼の過去や医療の経験が物語の重要なバックボーンとなっています。
• - 桜宮すみれと桜宮小百合：二人の副院長は、病院内の力関係や医療における倫理的な問題を浮き彫りにします。

テレビドラマ化

この作品は、関西テレビにより2014年にドラマ化され、タイトルは『チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮』として放送されました。ドラマでは、原作の主人公が田口と白鳥に変更されましたが、原作の緊迫した雰囲気とストーリーは忠実に再現されています。

『螺鈿迷宮』は、単なる医療ミステリーの枠に収まらず、登場人物たちの人間模様や医療行為にこめられた深い意義を描いた作品です。心の奥に潜む謎や葛藤は、読者に様々な感情を呼び起こしつつ、最後に一つの真実が待ち受けていることでしょう。

不気味な状況が進行する中、人物同士の関係性や病院内での攻防は、医療現場の厳しさやドラマチックな展開をもたらし、読者を飽きさせません。医療と人間の重い選択、そしてその選択がもたらす結果を考えさせるような、心に残る物語です。

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