血と蜜〜Anthology of Gothic Lolita & Horror

ALI PROJECTが2017年に発表したベストアルバム『血と蜜〜Anthology of Gothic Lolita & Horror』は、その名の通り、ゴシックロリータとホラーという二つのテーマに焦点を当てた作品です。

アルバムはDISC1とDISC2の2枚組で構成されています。DISC1は、テレビアニメ『ローゼンメイデン』シリーズの主題歌である「禁じられた遊び」や「聖少女領域」といった、ALI PROJECTの代表的なゴシックロリータ楽曲を中心に収録。ただし、これらの楽曲は過去のベストアルバムにも収録されていたため、本作ではストリングスバージョンとして新たな魅力を引き出しています。

DISC2は、よりダークでホラー要素の強い楽曲が集められています。アニメ『Another』のオープニングテーマ「凶夢伝染」など、ALI PROJECTの持つ退廃的で妖しい世界観が色濃く反映された楽曲が楽しめます。

両DISCにはそれぞれ書き下ろしの新曲も収録されており、アルバム全体のテーマをより深化させています。新曲のミュージックビデオは城の中で撮影されることが決まっていたため、楽曲の歌詞も城をモチーフとした世界観が表現されています。

宝野アリカは、このアルバムの制作について、「『ローゼンメイデン』シリーズの主題歌で認知度が上がり、ゴシックロリータ系の楽曲を集めたアルバムを作りたいと考えた。一方で、『凶夢伝染』のようなホラー要素を含む楽曲も多いので、双方をまとめたアルバムを作ることができれば素敵だと思った」と語っています。

アルバムには、過去の楽曲に新たなアレンジを加えたものや、他のクラシック音楽からの引用が散りばめられており、音楽的な奥深さも魅力の一つです。「私の薔薇を喰みなさい」ではSAMPLE MAGICのサンプル音源やラフマニノフの楽曲が、「ALICE同罪イノセント」ではPRIME LOOPSのサンプル音源が使用されています。新曲「Royal Academy of Gothic Lolita」では、バルトークやレクオーナ、ラフマニノフの楽曲が引用され、楽曲に深みを与えています。

DISC2に収録されている「凶夢伝染」ではメンデルスゾーンの楽曲が、「雪華懺悔心中」ではレクオーナの楽曲が引用されています。新曲「少女蜜葬～Le sang et le miel」はデジタルロックとして制作されており、ストリングスを導入することで、よりドラマチックな展開を生み出しています。

『血と蜜〜Anthology of Gothic Lolita & Horror』は、ALI PROJECTの音楽性を余すところなく堪能できる、まさにベストアルバムと呼ぶにふさわしい作品です。ゴシックロリータとホラーという二つのテーマが織りなす、耽美で退廃的な世界観に浸ってみてはいかがでしょうか。

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