血を吸うシリーズ

血を吸うシリーズ

『血を吸うシリーズ』は、吸血鬼を主題とした特撮ホラー映画群であり、東宝が制作を手掛けた作品です。このシリーズは、しばしば「血を吸う3部作」とも呼ばれています。監督として名を馳せた山本迪夫が制作を行い、彼の独自のビジョンが色濃く反映されています。

概要

このシリーズの特筆すべき点は、従来の吸血鬼映画とは異なったアプローチを取ったところにあります。「血を吸うシリーズ」は、3作全てが独立したストーリーを展開していますが、西洋の怪奇映画と日本の怪談文化を見事に融合させています。山本監督は、ホラー映画にもかかわらず、観客を引き込むための心理的な深さを重視しており、そのための影響源としてアルフレッド・ヒッチコックの作品も挙げられています。

本来、山本が構想していたのは、精神病院を舞台にした心理サスペンスでした。その名残が、『血を吸う人形』における医師の内面的葛藤や、『血を吸う薔薇』に登場する精神病院に閉じ込められた男性などに見られます。こうした要素は、山本の持つ独自の視点から描かれた人間の心の闇を垣間見ることができます。また、プロデューサーの田中文雄は、シリーズ全体にわたって活動的な描写を重視したと語っています。

書籍『ゴジラ画報』では、ハマー・プロダクションの吸血鬼映画に対するオマージュがこのシリーズに込められているとも評価されています。特に、『血を吸う眼』と『血を吸う薔薇』での岸田森の演技は高く評価されており、彼は「吸血鬼俳優」としてその名を馳せることとなります。田中によれば、彼と並んで岡田眞澄も候補として考えられていたそうです。

第1作目『血を吸う人形』では、野々村夕子というキャラクターが登場し、彼女は「事故による重傷で臨終の間際に強烈な催眠術によって死を凍結された生きている死者」として描かれます。面白いことに、このキャラクターは他のキャラクターを吸血するのではなく、鋭利な刃物で喉を切り裂くという異色の殺人鬼として設定されているのです。

作品一覧

このシリーズは、2005年4月28日に東宝ビデオから3部作を収録したDVDボックス『血を吸う箱』としてリリースされ、同時に単巻も発売されました。

関連作品

『学校の怪談 春のたたりスペシャル』第4話「呪われた課外授業」もまた、『血を吸うシリーズ』と同じ監督・脚本家が関与した一作です。このオムニバスドラマは1999年3月30日に放送され、内容はあたかも本シリーズの延長のようなテーマ性を持っています。

参考文献

• - 『テレビマガジン特別編集 誕生40周年記念 ゴジラ大全集』
• - 『ゴジラ画報 東宝幻想映画半世紀の歩み』
• - 『東宝特撮映画大全集』
• - 講談社『ゴジラ&東宝特撮 OFFICIAL MOOK』

このように、血を吸うシリーズは日本の特撮映画に独自の道を拓いた、記憶に残るホラー作品として評価されています。

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