血を吸う薔薇

映画『血を吸う薔薇』の概要

1974年に公開された特撮恐怖映画『血を吸う薔薇』は、東宝映像が製作し、東宝が配給した作品です。本作は特撮映画の一環として位置づけられ、監督は山本迪夫が務めました。『血を吸う人形』や『血を吸う眼』に続く「血を吸うシリーズ」の第3作目として、多くのファンから期待をされていました。カラーのシネマスコープで撮影され、視覚的にも迫力のある映像が展開されます。

あらすじ

物語は東京から長野県の魔ヶ里村に赴任した教師、白木の視点から描かれます。彼は聖明女子短期大学の学長候補として新たな環境に足を踏み入れますが、赴任初夜から不気味な出来事が彼を襲います。事件を追う中で彼は、200年前からの吸血鬼伝説に行き着き、前任者が狂気に陥った理由を探り始めます。その日記には、殺人鬼が生身の人間に憑依するという不気味な記述が残されています。

実は、現学長夫妻が次々と人に憑依する吸血鬼であることが判明し、彼らは次の獲物として白木を狙います。吸血鬼の夫婦愛と、白木を救うための死闘が繰り広げられる中、恐怖が一層深まります。

キャストと制作

本作では、黒沢年男が主人公の白木役を演じました。白沢自身は怪奇映画が苦手でありながら、監督の熱心な説得により出演を決意。前作と同様に岸田森が吸血鬼役を演じ、彼の演技が作品に深みを与えています。その他のキャストには、望月真理子、太田美緒、荒牧啓子などが名を連ね、各々が作品の雰囲気を引き立てました。

制作の背景

本作の製作は、『血を吸う眼』の後にオファーがあったものの、監督や制作スタッフが渋っていたため長く待たされました。しかし、1974年には映画市場にオカルト映画ブームが訪れ、再び製作が決定しました。監督の山本は、テレビドラマに疲れを感じていたこともあり、再度このシリーズの監督を務めることを引き受けました。

また、作品の一部には1960年に公開されたフランス・イタリア合作の吸血鬼映画『血とバラ』からのオマージュが見受けられ、以前の作品へのリスペクトも含まれています。

評価と影響

この映画は公開時に多くのファンを魅了し、特にその吸血鬼夫婦の描写が新しい恐怖の形として観賞者に印象を与えました。作品のキャッチコピーである「悪魔が呼ぶ！霊魂が呼ぶ！血を肉体を求めて今夜もまた蘇る呪いの檻！」は、観客の好奇心を掻き立てました。

映像ソフト

その後、2005年にはDVDがリリースされ、オーディオコメンタリーやシリーズ作品を収録したボックスセットも発売されました。再発売も多数行われ、多くの人々に愛され続けています。映画のファンにとって、今なお魅力的な作品であり続ける『血を吸う薔薇』は、日本の特撮恐怖映画の金字塔と言えるでしょう。

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