血液凝固障害

血液凝固障害とは？

血液凝固障害とは、体の血液凝固機能に異常が生じている状態です。血液が適切に固まらないため、出血が止まりにくくなったり、逆に血栓ができやすくなったりするなど、様々な問題を引き起こします。この障害は、先天的な原因によるものと、後天的な原因によるものの大きく2種類に分類できます。

血液凝固のしくみ

血液凝固は、複雑な一連の反応によって引き起こされる生理現象です。血管損傷により血小板が活性化され、凝固因子が活性化されることで、最終的にフィブリンというタンパク質が生成され、血液が固まります。この過程のどこかに異常が生じると、血液凝固障害が起こります。

先天性血液凝固障害

先天性血液凝固障害は、遺伝的な要因によって引き起こされます。代表的な疾患としては、以下のものが挙げられます。

血友病: 血液凝固因子（主に第VIII因子または第IX因子）の欠乏により、出血が止まりにくい状態になります。
血小板無力症: 血小板の数が少ないか、機能が低下している状態です。これもまた出血しやすくなります。

これらの疾患は、遺伝子検査によって診断することができます。

後天性血液凝固障害

後天性血液凝固障害は、様々な要因によって引き起こされます。主な原因としては、以下のものが挙げられます。

薬剤: ワルファリンなどの抗凝固薬は、血液凝固を抑制する効果があるため、服用によって血液凝固障害が起こることがあります。
肝臓疾患: 肝臓は凝固因子の産生に関わっているため、肝臓の機能が低下すると、凝固因子の不足によって血液凝固障害が起こることがあります。
播種性血管内凝固症候群（DIC）: 全身性の微小血管内で血液凝固が亢進し、出血と血栓形成が同時に起こる状態です。敗血症や癌など、様々な原因で引き起こされます。
ヘビ毒: アメリカハブ属、ガラガラヘビ、クサリヘビ科などの一部のヘビの毒には、血液凝固を阻害する成分が含まれています。咬傷によって血液凝固障害が起こることがあります。
自己免疫疾患: 自己免疫疾患の中には、血液凝固因子に対する抗体が産生されることによって血液凝固障害を引き起こすものがあります。後天性血友病では、第VIII因子が直接阻害されます。抗リン脂質抗体症候群もその一例です。

血液凝固障害の症状

血液凝固障害の症状は、原因や重症度によって様々です。軽症の場合には、自覚症状がないこともあります。重症の場合には、以下のような症状が現れます。

皮膚や粘膜からの出血（鼻血、歯肉出血、月経過多など）
内臓からの出血（消化管出血、脳出血など）
関節痛や腫れ（血友病など）
* 血腫の形成

血液凝固障害の診断と治療

血液凝固障害の診断には、血液検査が用いられます。凝固因子レベル、血小板数、凝固時間などを測定することで、診断を行うことができます。治療法は、原因によって異なります。薬物療法、輸血療法、外科手術などが行われる場合があります。

まとめ

血液凝固障害は、様々な原因によって引き起こされる重篤な疾患です。早期診断と適切な治療が重要です。出血症状などが認められる場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。

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