血漿

血漿について

血漿（けっしょう）は、血液を構成する液体部分であり、全体の約55%を占めています。血液を試験管に入れて遠心分離すると、赤血球が底に沈殿し、その上には淡黄色の液体が残ります。この淡黄色の液体が血漿です。赤血球と血漿の容積の比はほぼ1：1です。

血漿の成分

血漿は、水分が大部分を占めており、その割合は約91%です。そのほかに、約7%のタンパク質が含まれており、具体的にはアルブミン、フィブリノーゲン、免疫グロブリンといった種類があります。また、脂質や糖類（特にグルコース）、無機塩類も含まれており、血漿の健康状態を左右する重要な成分です。特にナトリウム（Na）やカリウム（K）などの電解質は、体の中の水分バランスを保つために必要不可欠です。

血漿の役割

血漿は、体内で様々な重要な役割を果たします。血液細胞、養分、ホルモン、老廃物を運搬する機能を持ち、これにより体内の恒常性（内環境の安定）を維持します。また、血漿は血液の凝固過程に重要な役割を果たし、免疫系の機能をサポートします。

さらに、血漿は急激な温度変化を抑える役割も果たし、体温を安定させるのに寄与します。組織液として血管の外に浸透し、細胞に必要な栄養を供給することもできますが、余剰分は毛細リンパ管を通じて再び血管に戻ります。

歴史的背景

血漿に関する研究は、1628年にウィリアム・ハーベーによって始まりました。その後1770年頃にウィリアム・ヘンソンがフィブリノゲンを発見し、血漿研究が進展しました。血漿の輸血用途は1918年に提案され、次第に「乾燥プラズマ」が開発されました。これは第二次世界大戦中に大きく利用され、多くの兵士の命を救いました。

1960年代まで、日本赤十字社ではチメロサールという防腐剤を使用して血漿を製造していましたが、1970年に有機水銀中毒の事例が発生したことで市場から回収されることとなりました。

血漿量の測定

血漿量は、全体の液体量から細胞内液及び間質液の量を差し引いて求められます。エバンスブルー色素の濃度測定や放射性ヨウ素で標識した血清アルブミンを用いることでの近日的な測定も行われています。

精密検査と正常値

血漿浸透圧は、様々な成分の濃度から計算され、正常値は285〜295mOsm/Lとされています。

臨床的な利用と注意

抗老化治療として若者から採取した血漿を用いる療法がアメリカで行われてきましたが、2019年には臨床効果が認められていないとして警告が発表されました。危険が伴う可能性があるため、情報を十分に把握した上で、慎重に行動することが求められます。

結論

血漿は血液の重要な成分であり、体内での役割を理解することで、健康管理における重要性を認識することができます。大型の医学研究や臨床試験が進む中で、今後の新たな血漿の利用法や理解が進展することが期待されています。

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