血脈相承とは
血脈相承(けちみゃく・そうじょう、そうしょう)は、
仏教において、師から弟子へ法が相続される過程を表現した用語です。この概念は、人体における血液の流れに例えられることから生まれました。師が授ける内容には、
本尊や教義、
戒律、さらには切紙のような秘伝や宝物が含まれます。つまり、血脈相承における「法」とは、次世代の師となる者が受け継ぐべき重要なものを指しています。
歴史的に、後期大乗
仏教、特に密教においては、儀軌や法具も含めた「法」そのものが伝達され、これを法脈として高く評価します。このような伝達は通常、非公開の場で行われるため、その性質は単なる相続であるとも、一子相伝の秘儀であるとも解釈され、見方によってその重みが異なります。
各宗派における血脈相承
血脈相承の概念は、さまざまな
仏教宗派で異なる形で表現されています。中には血脈相承という言葉を用いない宗派もあれば、血脈相承的な概念自体が存在しない宗派もあります。
浄土真宗
浄土真宗では「伝灯相承(でんとうそうしょう)」と呼ばれ、特に浄土真宗本願寺派や
真宗大谷派では、門主(門首、法主)の座が親鸞の子孫から受け継がれることを指しています。これにより、信仰の連続性と正統性が保たれます。
真言宗
真言宗では、恵果から受け継いだ伝法灌頂を通じて、密教の正統が全て
空海に伝えられたとされています。この伝承は、教義がどのように発展してきたかを示す重要な証です。
禅宗
禅宗では「法嗣(ほうし)」という用語が用いられ、
釈迦から摩訶迦葉への教えが伝えられたことが強調されます。ここでは、第28祖が達磨であり、彼から禅宗六祖の慧能への衣鉢の授受が伝承の証として認識されています。
日蓮正宗における血脈相承については、別の項で詳しく説明しています。
善光寺における血脈
長野県の善光寺では、血脈が浄土往生の認定証のように扱われています。ここでは、御血脈授与所に志納を行うことで、誰でも「極楽往生を保障する血脈の印」を受け取ることが可能です。この儀式は
江戸時代から既に広く行われており、
落語の題材としても利用されていました。
関連事項
血脈相承に関連する用語の一つに「法嗣」があり、これは師から弟子へと受け継がれる正統な教えを示しています。