恵果

恵果（えか／けいか）

恵果は、中国の唐代に活躍した密教僧であり、俗姓は馬氏です。彼は長安の東に位置する昭応県（現在の臨潼区）、および真言八祖の第七祖として名を馳せました。恵果は特に、弟子に教育を施し、その教えを広めることによって、東アジアの密教の発展に多くの貢献をしてきました。

経歴

恵果は幼い頃から特異な才能を発揮し、七歳の時に不空からその若き才能を見出され、後に金剛頂系の密教を学びました。また、善無畏の弟子である玄超から『大日経』系ならびに『蘇悉地経』系の教義を受け継ぎ、密教の両系統を統合する第一人者としての地位を確立しました。彼は長安の青龍寺に住み、さまざまな地域から集まった弟子たちにも熱心に法を伝えました。

さらに、恵果は十五歳のときには霊的な能力を得るに至り、その噂は当時の皇帝代宗にまで届きました。代宗は彼を宮中に招き、自らの疑念を解決するよう命じました。恵果は六歳の童子に大自在天を降ろすという驚異的な行為を行い、その結果、童子は皇帝の過去、現在、未来を答えました。この出来事に感動した代宗は恵果に深い帰依を示し、彼に対して多くの寄進が行われました。このような経緯から、恵果は代宗から順宗の三代にわたり、皇帝に師として仰がれました。

弟子たち

恵果のもとには、多くの弟子が集まりました。代表的な弟子には以下の人物が挙げられます。

• - 剣南の惟上
• - 河北の義円：金剛一界を伝授。
• - 新羅の恵日
• - 訶陵の辨弘：胎蔵一界を伝授。
• - 青竜の義明：唐朝において灌頂の師となるも、早世。
• - 空海：日本の真言宗の開祖であり、両部を授け受け継いだ。

空海との関係

延暦23年（804年）5月12日、空海は第十八次遣唐使として難波津を出発し、唐へ向かいました。彼は、苦難の末に長安に到着し、宿舎の西明寺で般若三蔵にサンスクリットを学びました。延暦24年（805年）6月12日、般若の助けを得て恵果を訪問しました。恵果は空海の才能を一目で見抜き、翌日には胎蔵界の「受明灌頂」を授与しました。さらに、7月上旬には金剛界の「受明灌頂」を、そして8月10日には阿闍梨位の授与が続きました。

恵果はまた、宮中の画家たちに曼荼羅図や密教関連の道具を製作するよう命じました。彼は空海に対して「この法を日本に持ち帰り、広めることが私への恩返しになる」と諭しました。その後、恵果は12月15日に自坊の東塔院で亡くなりました。

空海は師の埋葬を見届け、その後、彼が用意した曼荼羅とともに長安を後にしました。

墓所

恵果の墓は西安郊外の青龍寺にあります。加えて、日本の高知県にも恵果の分骨墓が所在します。

彼の教えと業績は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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