国立故宮博物院

国立故宮博物院

国立故宮博物院（こくりつこきゅうはくぶついん）は、台湾の台北市に位置する重要な博物館であり、台湾の文化や歴史を知る上で欠かせない場所です。この博物館は、中華民国の国立博物館の中で最大の規模を誇り、その収蔵品は約68万点に上ります。特に清朝に由来する文物が全体の90%以上を占めており、非常に貴重な文化財を多く保有しています。

沿革

国立故宮博物院の歴史は1924年に遡ります。当時、北洋軍閥の馮玉祥が愛新覚羅溥儀を紫禁城から追い出し、1925年に清朝の美術品を一般公開したことが始まりです。その当初、所蔵品は117万件を超え、多数の文物が整理され、展示室も設けられました。しかし、1930年代に日本軍が進出し、国民政府は重要文物を南方へ疎開させることになりました。この大規模な避難作業は何度も行われ、最終的に多くの所蔵品が台湾に移動することとなりました。

第二次世界大戦後、運び出された文物は重慶を経て南京に戻りましたが、国共内戦の激化により中華民国政府は台湾への文物の移動を加速しました。1948年から1949年にかけて、数回に分けて数千箱の文物が台湾へ運ばれ、現在の国立故宮博物院の基礎が築かれることとなりました。

台湾へ現物が運ばれた後、最初は文物庫房に保管されていましたが、1957年に一般公開が始まりました。さらに1965年には台北の外双渓に新館が開設され、膨大な数の美術品が展示されるようになりました。

施設

国立故宮博物院は、台北市士林区に位置し、地域には高級住宅街が広がっています。特に展示されている美術品は、中華民国政府が台湾に持ち込んだもので、陶磁器や書画など多岐にわたっています。博物館全体で6万点以上の収蔵品があり、細分化された展示が行われています。

1960年代には文化大革命の影響による文化財の破壊から歴史的遺産を守る役割も担いつつ、中華民国政府のナショナリズムの象徴として利用されました。しかし、現代に入ると台湾独立をめぐる議論が高まり、一部からは故宮博物院の文物を祖国に返還すべきだという主張も見られます。

また、博物院は国際的な文化交流を推進しており、2009年には北京故宮博物院との共同展を開催し、文化的な連携を深めてきました。2001年から2006年にかけては大規模な耐震・改装工事も行われ、現在は最新の施設となっています。

南部院区

2015年には、嘉義県に国立故宮博物院南部院区が開館し、アジアの芸術や文化をテーマにした展示が行われています。こうした分散化によって、多くの人々に文化に親しんでもらう機会が創出されています。

観覧情報

国立故宮博物院では、特定の日には無料入館が可能です。アクセスも便利で、台北捷運やバスを利用することで容易に訪れることができます。文化・歴史を学ぶ上での価値あるスポットとして、訪問者にとって非常に魅力的な場所であることは間違いありません。

このように、国立故宮博物院は台湾の文化的基盤を支える重要な存在であり、過去と現在をつなぐ架け橋としての役割を果たしています。

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