衡陽の戦い

衡陽の戦い

衡陽の戦い（こうようのたたかい）は、日中戦争において1944年に発生した重要な戦闘です。この戦闘は、中国の都市衡陽を巡って繰り広げられ、特にその持続的な戦闘により知られています。1944年6月18日に日本軍が長沙を占領した後、衡陽は次の標的として位置づけられました。この都市は、主要な鉄道の交差点であり、アメリカ空軍のフライング・タイガース部隊も使用していたため、軍事上の重要性が高かったのです。

日本軍の参謀総長であった杉山元元帥は、衡陽の奪取を命じ、戦闘が2ヶ月近く続くことになります。この戦闘は、度重なる攻防が繰り返され、双方にとって厳しい状況が続きました。

戦闘の背景

1944年、欧州戦せんの連合国がナチス・ドイツに対し有利に戦局が進展している中、中国戦線では中国軍が長沙陥落後、衡陽も奪回しなければ日本軍によるさらなる攻撃の可能性が高まりました。蒋介石は中国軍に対し、強力な防衛力を維持するよう命じますが、同時にビルマ戦線のアメリカ軍を支援するために大規模な兵力を移動させたため、湖南省や広西省に配置される部隊が手薄となってしまいます。

一方、日本軍は長沙を占めたことで兵力を強化し、次なる目標である衡陽への攻撃を開始しました。中国軍は当初日本軍への抵抗を試みましたが、圧倒的な日本軍の兵力を前にして、迅速な撤退を余儀なくされてしまいます。

戦闘経過

日本軍の横山中将は、2日以内に衡陽を制圧する計画を立て、6月22日には空軍が中国軍を爆撃し始めます。その夜、約3万の日本軍が衡陽への攻撃を開始しました。しかし、中国第10軍団の兵力は1万7千人と少ないにもかかわらず、彼らは激しい抵抗を見せました。

日本軍は数回の攻撃を試みるも、中国軍の陣地からの反撃や、連日の激闘による損失に苦しみます。特に、第68師団長が重傷を負うなど、日本軍は大きな犠牲を強いられ、攻撃の中止を余儀なくされます。その後、中国側は市内の防衛線を再構築し、さらなる抵抗を続けました。

7月8日、日本軍は再び攻撃を再開するも、中国軍の防御を打破することはできず、再度の攻撃中止命令が出されます。この状況の中で、日本軍は増援として新たな部隊を送り、激しい戦闘が続きました。

8月6日、日本軍の攻撃が再開され、ついに8月7日、中国軍の指揮官である方先覚中将は降伏の決断を下します。彼は最低限の条件として、民間人の保護と負傷者の人道的治療を日本軍に要求し、その後、武器を置いて戦闘を停止しました。この日は1944年8月8日のことでした。

結果と影響

衡陽の攻略によって日本軍は初期の作戦目標を達成しましたが、中国軍の徹底的な抵抗によって多くの犠牲を出しました。戦闘中、特に歩兵第百三十三連隊は大きな損失を被りました。その後、中国軍のゲリラ活動が活発化し、日本軍は完全に支配することが困難な状況に陥ります。これにより、日中戦争の長期化が予想されるようになり、日本軍の敗北に繋がる要因ともなったのです。

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