表層地盤増幅率

表層地盤増幅率とは

表層地盤増幅率とは、地震が発生した際に地盤がどの程度揺れを増幅させるかを示す数値です。地震の揺れは、震源の特性、地震波の伝わり方、そして地表近くの地層（表層地盤）の性質によって大きく変化します。特に、表層地盤は地震波の振幅を増幅させるため、その影響を把握することが重要です。

表層地盤増幅率の概要

地震波は、地下深部の岩盤から地表に向かって伝わります。その際、比較的固い地層を通過し、さらに浅い表層地盤に到達します。この表層地盤によって地震波の振幅が増幅される現象が起こります。表層地盤増幅率は、この増幅の度合いを数値化したものであり、数値が大きいほど地盤が揺れやすいことを意味します。

一般的に、表層地盤増幅率が1.5を超えると注意が必要であり、2.0以上になると強い揺れに対する備えが求められます。防災科学技術研究所の分析では、1.6以上で地盤が弱いと判断されます。

全国各地の表層地盤増幅率

政府の地震調査研究推進本部は、日本全国の表層地盤増幅率を約250m四方単位で細分化し、公開しています。これらのデータは、独立行政法人防災科学技術研究所が運営する「地震ハザードステーション」のウェブサイトで確認できます。

計算方法

表層地盤増幅率は、ボーリング調査で得られた地盤情報から地層ごとの物理定数を推定したり、平均的なS波速度から計算したりします。また、微地形区分から統計分析に基づいた方法で評価することも可能です。

「地震ハザードステーション」のデータは、微地形区分から算出された表層地盤の層厚30mの平均S波速度（AVS30）を使用しており、工学的基盤（Vs=400m/s）から地表までの最大速度の増幅率を示しています。

主な地域の地震増幅率

2010年の国勢調査に基づいた防災科学技術研究所の分析によれば、増幅率2.0以上の「特に揺れやすい」地域には約2200万人、1.6以上2.0未満の「揺れやすい」地域には約1700万人が居住しています。また、1.4以上1.6未満の「場所によっては揺れやすい」地域にも約2200万人が住んでいます。増幅率1.6以上の軟弱地盤は、国土面積のわずか6%に過ぎませんが、関東、大阪、濃尾、福岡など人口密度の高い平野部に集中しています。

主要地域の増幅率

「地震ハザードステーション」のデータに基づく、日本全国の主要地域の表層地盤増幅率は以下の通りです。

山手線内主要駅

首都圏の主要駅の増幅率を比較すると、山の手に位置する駅は増幅率が低く（地盤が強い）、旧下町や湾岸エリアに位置する駅は増幅率が高い（地盤が弱い）傾向があります。

例えば、2010年版のデータでは、[新宿]]駅(1.46)、四ツ谷駅]、東[新宿駅(1.48)など山の手に位置する駅は増幅率が低い一方、秋葉原駅]、[浜松町駅]、水道橋駅(2.15)など旧[[下町や湾岸エリアの駅は増幅率が高くなっています。

東京都内全域

東京都内全域の区役所、市役所の所在地をみると、[江戸川区]、[葛飾区]、[荒川区]、[江東区]など、下町や湾岸エリアの増幅率が高いことがわかります。

地質学的に見ると、山の手は標高の高い洪積台地であるのに対し、下町は海に近い沖積低地です。1923年の関東大[[震災]]では、都心部の下町エリアで被害が大きく、その後の復興とともに地盤の強い山の手の人口が増加し、新宿や渋谷などが繁華街として発展しました。

首都圏

東京圏の各県の県庁所在地では、[千葉市]、[横浜市]など東京都心部よりも高い値を示す一方、[北関東]]では[[水戸市]、[宇都宮市]、[前橋市]など、全般的に低い値を示しています。

まとめ

表層地盤増幅率は、地震の揺れやすさを評価する上で非常に重要な指標です。自身の居住地域や活動する場所の増幅率を把握し、適切な地震対策を行うように心がけましょう。特に、増幅率の高い地域では、建物の耐震化や家具の固定など、より一層の備えが必要です。

参考情報

独立行政法人[防災]]科学技術研究所: [J-SHIS 地震ハザードステーション

[地震]]調査研究推進本部: [地震に関する情報

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