被曝花
「被曝花」（ひばくばな）は、現代美術家でありフラワーアーティストの柿崎順一と、アーティスト集団Chim↑Pomとのコラボレーションによって2011年に制作された彫刻作品群です。この作品は、東日本大震災とそれに続く福島第一原子力発電所事故によって放射線に被曝した植物や、津波で流された漂流物などを素材として使用しています。
「被曝花」は、柿崎順一が構成を担当し、Chim↑Pomが採取した素材を用いて制作されました。素材は、福島第一原発事故により放射線に被曝した植物、福島県の伝統工芸品であるこけし、瓦礫、洗面器などの被曝漂流物です。「被曝花」はシリーズとして展開され、『被曝花ハーモニー』と『被曝花エターナル』の二つの作品が制作されました。これらの作品は、Chim↑Pomの個展「REAL TIMES」で初めて公開され、東京都の無人島プロダクション / SNACで展示された後、大阪府のスタンダードブックストア心斎橋B1Fカフェギャラリーでも巡回展示されました。
『被曝花ハーモニー』は、Chim↑Pomのメンバーが福島第一原子力発電所事故直後の30km圏内で、ガイガーカウンターを使用しながら放射線量を測定し、除染しながら採取した花や植物を素材として、柿崎順一が構成した作品です。Chim↑Pomのリーダーである卯城竜太は、この作品について「シリアスな状況だからこそ『美しさ』が必要だ」と述べ、特に生命の美しさにこだわったと語っています。また、植物は環境の変化に関わらず運命を受け入れるしかない存在であり、その美しさは変わらないという点に着目し、自ら種をまいた人間の在り方との対比を表現したと述べています。使用された素材は、ヒマワリ、牡丹、タケノコ、ツツジ、ツゲ、ムスカリ、チューリップ、菜の花、藤などの植物に加え、津波で流されたこけし、金属、布団、照明器具、ガラス瓶、コンクリートブロックなどの日用品です。これらの素材は、Chim↑Pomの「REAL TIMES」展（東京・無人島プロダクション / SNAC）で発表され、その後、大阪巡回展（大阪・スタンダードブックストア心斎橋B1Fカフェギャラリー）でも展示されました。
『被曝花エターナル』は、『被曝花』シリーズの二作目として制作されました。この作品では、『被曝花ハーモニー』ではあまり使用されなかった洗面器に焦点が当てられています。植物は、柿崎順一のテクノ・ホルティ園芸専門学校時代の同級生で、福島県いわき市小名浜で被災した生花店を経営する馬上忍（ラッキー）に依頼し、被曝しながらも成長を続け出荷された花々や、津波の塩害から生き残った植物を使用しています。また、『被曝花ハーモニー』ではほとんどの植物に水が与えられませんでしたが、『被曝花エターナル』では全ての植物に水が与えられ、新鮮な状態で花々（カラー、アジサイ、アザミ、ツツジ、ヒマワリなど）が展示されました。この作品は、Chim↑Pomの「REAL TIMES」大阪巡回展（大阪・スタンダードブックストア心斎橋B1Fカフェギャラリー）で発表・展示されました。
2011年3月11日：東日本大震災が発生。福島第一原子力発電所事故が発生。
2011年4月4日：Chim↑Pomの水野俊紀らが福島県相馬市へ支援物資を届ける。
2011年5月1日：福島第一原発事故を思わせる絵が描かれたベニヤ板が壁画に貼り付けられる。同日中に警察により撤去。
2011年5月3日～6日：Chim↑Pomのメンバーが福島県内で災害支援ボランティアを行いながら作品を制作。
2011年5月9日：Chim↑Pomが柿崎順一にTwitterで「被曝した植物を材料に、いけばな作品を制作してほしい」と依頼。
2011年5月11日：柿崎順一がChim↑Pomからの依頼を承諾。「REAL TIMES」展への参加をTwitterで報告。
2011年5月16日：Chim↑Pomのメンバーが福島第一原発から30km圏内で植物や被曝物を採取。
2011年5月17日：柿崎順一が東京・無人島プロダクション / SNACで『被曝花ハーモニー』の制作を開始。
2011年5月18日：「REAL TIMES」展の会場内で記者会見が行われ、Chim↑Pomがベニヤ板を貼り付けたことが明らかに。
2011年5月20日～25日：「REAL TIMES」展が開催され、『被曝花ハーモニー』が一般公開。
2011年6月4日～6日：柿崎順一が災害支援ボランティアで岩手県大槌町へ。
2011年6月11日：Chim↑Pomが『被曝花ハーモニー』を保存するため、長野県の柿崎順一の研究所を訪問。
2011年6月13日：柿崎順一が福島県いわき市小名浜のフラワーショップひらの・馬上忍に生花の調達を依頼。
2011年6月15日：Chim↑Pomが『被曝花ハーモニー』の保存のため再び長野へ。
2011年6月18日：福島県いわき市小名浜の馬上忍から被曝した生花が届く。柿崎順一が大阪・スタンダードブックストア心斎橋にて『被曝花エターナル』の制作を開始。
2011年6月19日：トークショー「BOMBNICATION」が大阪・スタンダードブックストア心斎橋で開催。
2011年6月20日～27日：「REAL TIMES」大阪巡回展が開催され、『被曝花エターナル』が一般公開。
joji okamoto flickr：Chim↑Pom & Junichi Kakizaki 「被爆花～ハーモニー〜」#001
柿崎順一 JUNICHI KAKIZAKI HANANOANA 公式ブログサイト：Chim↑Pom展「REAL TIMES」
Chim↑Pomサイト
柿崎順一 JUNICHI KAKIZAKI KURUIZAKI 公式ウェブサイト
無人島プロダクション Chim↑Pom
* SHIFT 日本語版 Chim↑Pom
概要
「被曝花」は、柿崎順一が構成を担当し、Chim↑Pomが採取した素材を用いて制作されました。素材は、福島第一原発事故により放射線に被曝した植物、福島県の伝統工芸品であるこけし、瓦礫、洗面器などの被曝漂流物です。「被曝花」はシリーズとして展開され、『被曝花ハーモニー』と『被曝花エターナル』の二つの作品が制作されました。これらの作品は、Chim↑Pomの個展「REAL TIMES」で初めて公開され、東京都の無人島プロダクション / SNACで展示された後、大阪府のスタンダードブックストア心斎橋B1Fカフェギャラリーでも巡回展示されました。
『被曝花ハーモニー』
『被曝花ハーモニー』は、Chim↑Pomのメンバーが福島第一原子力発電所事故直後の30km圏内で、ガイガーカウンターを使用しながら放射線量を測定し、除染しながら採取した花や植物を素材として、柿崎順一が構成した作品です。Chim↑Pomのリーダーである卯城竜太は、この作品について「シリアスな状況だからこそ『美しさ』が必要だ」と述べ、特に生命の美しさにこだわったと語っています。また、植物は環境の変化に関わらず運命を受け入れるしかない存在であり、その美しさは変わらないという点に着目し、自ら種をまいた人間の在り方との対比を表現したと述べています。使用された素材は、ヒマワリ、牡丹、タケノコ、ツツジ、ツゲ、ムスカリ、チューリップ、菜の花、藤などの植物に加え、津波で流されたこけし、金属、布団、照明器具、ガラス瓶、コンクリートブロックなどの日用品です。これらの素材は、Chim↑Pomの「REAL TIMES」展（東京・無人島プロダクション / SNAC）で発表され、その後、大阪巡回展（大阪・スタンダードブックストア心斎橋B1Fカフェギャラリー）でも展示されました。
『被曝花エターナル』
『被曝花エターナル』は、『被曝花』シリーズの二作目として制作されました。この作品では、『被曝花ハーモニー』ではあまり使用されなかった洗面器に焦点が当てられています。植物は、柿崎順一のテクノ・ホルティ園芸専門学校時代の同級生で、福島県いわき市小名浜で被災した生花店を経営する馬上忍（ラッキー）に依頼し、被曝しながらも成長を続け出荷された花々や、津波の塩害から生き残った植物を使用しています。また、『被曝花ハーモニー』ではほとんどの植物に水が与えられませんでしたが、『被曝花エターナル』では全ての植物に水が与えられ、新鮮な状態で花々（カラー、アジサイ、アザミ、ツツジ、ヒマワリなど）が展示されました。この作品は、Chim↑Pomの「REAL TIMES」大阪巡回展（大阪・スタンダードブックストア心斎橋B1Fカフェギャラリー）で発表・展示されました。
沿革
2011年3月11日：東日本大震災が発生。福島第一原子力発電所事故が発生。
2011年4月4日：Chim↑Pomの水野俊紀らが福島県相馬市へ支援物資を届ける。
2011年5月1日：福島第一原発事故を思わせる絵が描かれたベニヤ板が壁画に貼り付けられる。同日中に警察により撤去。
2011年5月3日～6日：Chim↑Pomのメンバーが福島県内で災害支援ボランティアを行いながら作品を制作。
2011年5月9日：Chim↑Pomが柿崎順一にTwitterで「被曝した植物を材料に、いけばな作品を制作してほしい」と依頼。
2011年5月11日：柿崎順一がChim↑Pomからの依頼を承諾。「REAL TIMES」展への参加をTwitterで報告。
2011年5月16日：Chim↑Pomのメンバーが福島第一原発から30km圏内で植物や被曝物を採取。
2011年5月17日：柿崎順一が東京・無人島プロダクション / SNACで『被曝花ハーモニー』の制作を開始。
2011年5月18日：「REAL TIMES」展の会場内で記者会見が行われ、Chim↑Pomがベニヤ板を貼り付けたことが明らかに。
2011年5月20日～25日：「REAL TIMES」展が開催され、『被曝花ハーモニー』が一般公開。
2011年6月4日～6日：柿崎順一が災害支援ボランティアで岩手県大槌町へ。
2011年6月11日：Chim↑Pomが『被曝花ハーモニー』を保存するため、長野県の柿崎順一の研究所を訪問。
2011年6月13日：柿崎順一が福島県いわき市小名浜のフラワーショップひらの・馬上忍に生花の調達を依頼。
2011年6月15日：Chim↑Pomが『被曝花ハーモニー』の保存のため再び長野へ。
2011年6月18日：福島県いわき市小名浜の馬上忍から被曝した生花が届く。柿崎順一が大阪・スタンダードブックストア心斎橋にて『被曝花エターナル』の制作を開始。
2011年6月19日：トークショー「BOMBNICATION」が大阪・スタンダードブックストア心斎橋で開催。
2011年6月20日～27日：「REAL TIMES」大阪巡回展が開催され、『被曝花エターナル』が一般公開。
脚注
外部リンク
joji okamoto flickr：Chim↑Pom & Junichi Kakizaki 「被爆花～ハーモニー〜」#001
柿崎順一 JUNICHI KAKIZAKI HANANOANA 公式ブログサイト：Chim↑Pom展「REAL TIMES」
Chim↑Pomサイト
柿崎順一 JUNICHI KAKIZAKI KURUIZAKI 公式ウェブサイト
無人島プロダクション Chim↑Pom
* SHIFT 日本語版 Chim↑Pom
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。