裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律とは？意味をやさしく解説

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律（ADR法）について

「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」（以下、ADR法）は、2004年12月1日に公布され、2007年4月1日に施行された日本の法律です。この法律は、裁判によらない紛争解決手段であるADR（Alternative Dispute Resolution）の制度を規定し、その利用を促進することを目的としています。

ADR法制定の背景と目的

従来の裁判制度は、複雑で時間も費用もかかるため、すべての紛争に適しているとは限りません。そこで、ADR法は、仲裁、調停、あっせんといった裁判外の紛争解決手続きを促進することで、国民がより身近に司法制度を利用できるようにすることを目指しました。これにより、迅速かつ柔軟な紛争解決が可能となり、国民の権利擁護に繋がるものと期待されています。

ADR法の内容

ADR法は、以下の主要な要素で構成されています。

1. 認証制度：
ADR法では、紛争解決手続きを行う事業者を認証する制度を設けています。この認証を受けた事業者は「認証紛争解決事業者」と呼ばれ、法的な基準を満たした上で、公平かつ適切な紛争解決サービスを提供することが求められます。
認証制度によって、弁護士以外の法律専門家（例えば、弁理士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士、不動産鑑定士など）も、一定の範囲内で和解等の仲介を行うことが認められました。このことにより、専門分野に特化した紛争解決が可能となり、より多様なニーズに応えられるようになりました。
2. 民間紛争解決手続の業務：
ADR法は、民間事業者が行う紛争解決手続きの認証に関する手続きや基準を定めています。これにより、質の高いADRサービスが提供されるようになり、国民は安心して利用できます。
また、認証紛争解決事業者の業務運営に関する規定や、報告義務なども定められており、透明性と信頼性を確保する仕組みが構築されています。

ADR法の構成

ADR法は、以下の章で構成されています。

第1章総則：ADR法の目的や用語の定義などが規定されています。
第2章認証紛争解決手続の業務：認証の要件や認証事業者の業務に関する規定があります。
第1節民間紛争解決手続の業務の認証
第2節認証紛争解決事業者の業務
第3節報告等
第3章認証紛争解決手続の利用に係る特例：訴訟との関係に関する特例などが規定されています。
第4章雑則：その他の事項に関する規定があります。
第5章罰則：法律に違反した場合の罰則が規定されています。

ADR法の歴史

ADR法は、2004年に公布され、2007年に施行されました。2007年4月2日には、日本スポーツ仲裁機構が初の認証申請者となりました。これは、ADRがスポーツ分野においても重要な役割を果たすことを示しています。

ADR法の意義と今後の展望

ADR法の制定と施行により、国民はより多様な紛争解決手段を選択できるようになりました。これにより、紛争解決の迅速化や費用の削減が期待できるほか、当事者間の対話を重視した柔軟な解決も可能になります。

今後、ADR法の活用はさらに進み、社会における紛争解決の重要なインフラとしての役割が期待されています。

外部リンク

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律 - e-Gov法令検索
裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律施行令 - e-Gov法令検索
裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律施行規則 - e-Gov法令検索
裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案（概要） - ウェイバックマシン - 首相官邸
裁判外紛争解決手続（ＡＤＲ）について - 法務省
『裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律』 - コトバンク

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