装束司

装束司（しょうぞくし）とは

装束司は、古代日本の朝廷において、天皇の儀式や行幸の際に、その衣装や設備の設営を担当した役人のことです。天皇の外出や特別な儀式において、装束司は不可欠な存在でした。

歴史

装束司の最初の記録は、神亀3年（726年）の聖武天皇の播磨国行幸の際に、六人部王、藤原麻呂、巨勢真人、県犬養石次ら27人が任じられたとされています。行幸の数十日前には、造行宮使、前後次第司、留守などとともに装束司が任命されるのが通例でした。

造行宮使の位階は「臨時事に随ひて処分」とされ、特に定められていませんでしたが、装束司は、鹵簿（ろぼ）の行進を指揮する前後次第司と同様に四等官制を採用していました。具体的には、長官（三位、1名）、次官（2名）、判官（3名）、主典（3名）という構成で、行幸の際に任命される官職の中では最も重要な役職の一つと見なされていました。特に、次官、判官、主典の人数は前後次第司よりもそれぞれ1人ずつ多く、その重要性が伺えます。

職務

装束司の主な職務は、行幸の際の衣服や調度品の準備でした。準備すべき物資や馬、人夫などに関する規定は、延喜式の行幸関係の条に詳細に記されています。また、装束司は、喪葬の際にも任命され、太政官式には「凡そ親王及び大臣薨じ、即ち装束司及び山作司に任ず」とあります。斎宮の伊勢神宮下向や皇族、大臣の葬儀の際にも任命されるようになり、その職務範囲は拡大しました。ただし、天皇、皇后、皇太后の場合については、その重要性からか規定が省略されていました。

装束司は、朝廷の儀式や行幸における重要な役割を担い、その職務は多岐にわたりました。彼らの活動によって、行幸や儀式が円滑に進行し、天皇の権威を示すことができたと言えるでしょう。

参考資料

* 『続日本紀』2　新日本古典文学大系13　岩波書店、1990年

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