装甲工作車

装甲工作車 セリ（そうこうこうさくしゃ セリ）

装甲工作車セリは、日本陸軍が開発した装甲回収車で、主に大陸での実戦経験に基づいて設計されました。この車両は、戦場において重い戦車や装甲車両を迅速に回収し、速やかに再び戦闘に復帰させるために必要な装備として認識されました。

開発の背景と目的

陸軍は戦闘の効率を上げるため、特に大規模な戦闘では戦車の重要性が増すことを理解しました。しかし、重装甲車両の損傷や故障が発生した際、その回収は非常に負担となり、素早い対応が求められました。そこで、専用の装甲回収車が必要であると考えられるようになったのです。

この装甲回収車は、日本陸軍の制式戦車である九七式中戦車を基に開発されました。製造は三菱重工業によって行われ、実戦での運用を見据えた設計が施されています。

車両の特徴と設計

装甲工作車セリの設計では、特に後部に回収機材を取り付ける必要がありました。そのため、車体中央にエンジンを移動させ、高出力の一〇〇式発動機を搭載しました。このエンジンは、回収作業に必要な力を生み出し、自衛のためには小型化した砲塔に重機関銃を装備している点が特徴です。

後部には、クレーンとウインチが装備されており、損傷した車両を効率的に牽引・移動させることが可能です。このように、セリは戦場での活動において非常に重要な役割を果たすことを意図して設計されました。

しかし、実際にはこの装甲工作車セリはわずか3両しか生産されておらず、大半は試作車として扱われました。そのため、実戦での活躍は限定的でしたが、陸軍機甲部隊にとっては貴重な装備であったと考えられています。また、別名として「戦車隊用力作車」とも呼ばれており、「セリ」という名称はこれを省略した形になっています。

参考文献と関連項目

装甲工作車セリに関する詳細な情報は、出版協同社の『日本の戦車』や光人社の『戦車戦入門』などに記されています。さらに関連する項目としては、装甲回収車や大日本帝国陸軍兵器一覧などが挙げられます。

最後に、この装甲工作車セリは、戦争の激化に応じて整備と回収の重要性が高まった時代に想像された革新的な試みであり、その設計と役割は今なお学ぶべき点が多いといえるでしょう。

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