裏町裏通り名画館

裏町裏通り名画館

『裏町裏通り名画館』は、藤子・F・不二雄（当時の名義は藤子不二雄）による短編漫画で、1983年に発表されました。この作品は、月刊スーパーアクションの1983年9月号に掲載され、多くの読者に親しまれています。

ストーリー概要

物語は、主人公がふと訪れた町の映画館から始まります。この映画館では、最新作として『南極物語』と『スターウォーズ』が二本立てで上映されていると告知されています。350円という安価な料金に心躍らせた主人公は、中へ飛び込むものの、実際に上映されていたのは『北極物語』と『ヌターウォーズ』でした。

北極物語

『北極物語』では、主人公がアザラシの母子として描かれています。彼らは穏やかな日々を送っていましたが、突如、血に飢えた二頭の犬が襲いかかります。これは、北極越冬隊によって置き去りにされた犬たちによるもので、物語は緊迫感に満ちた展開へと進んでいきます。この部分では、別の視点から見た南極の犬たちの物語ともリンクして行くため、読者は多角的な視点から楽しむことが出来ます。

ヌターウォーズ

『ヌターウォーズ』は、平和に暮らしていた木こりヨサークが主人公です。ある日、彼はレッド・ペーパー、つまり召集令状によって帝国軍に召集され、戦場に赴くことになります。家族や愛するオハナのため、また友人タゴーサクの仇を討つために彼は反乱軍との壮絶な戦いに挑むのです。

作中の用語とパロディ

『ヌターウォーズ』では、『スター・ウォーズ』のパロディが随所に見られ、旧日本軍や当時の流行を取り入れた独自の世界観が構築されています。

• - ヨサーク：木こりの名前は、北島三郎の演歌『与作』からの引用です。
• - タゴーサク：この名前は田舎者を指す言葉「田吾作」のぱろであり、キャラクターの背景を表しています。
• - レッド・ペーパー：赤紙は召集令状を意味し、登場人物の運命を鋭く表現しています。
• - デッド・スター：オリジナルのデス・スターを反映した用語です。
• - 大宇宙共栄圏：実際の歴史に基づいた大東亜共栄圏を意識した言葉。

ちなみに、帝国軍の士官たちは、旧日本軍に似た制服を身にまとっており、視覚的にも懐かしさと風刺を感じさせます。

まとめ

『裏町裏通り名画館』は、映画や歴史を巧みにパロディ化しながら、主人公たちの葛藤と成長を描いたストーリーです。短編ながらも、豊富な要素と批評的視点を持ち合わせており、多くの読者に深い印象を残しています。

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