裏送り

裏送り（うらおくり）とは

裏送りとは、テレビやラジオの放送ネットワークを利用して、キー局が自局で放送している内容とは別の番組や素材を系列のローカル局へ送ることを指します。このプロセスは、オンエア中の裏側で別のやり取りが発生していることから、この名が付けられています。また、ローカル局ではこの送られた素材を「裏受け」と呼びます。

概要

裏送りは、特に生放送の報道番組や特定の時間帯に行われている番組に対して、キー局およびローカル局でさまざまな使われ方をします。

• - リアルタイム編集: 生放送の報道番組中にキー局が受け取った番組素材を即座に編集・放送する。
• - 異なる編成: 全国ネットの番組を放送中、キー局が別の番組を同時に放送する場合。
• - ローカル局の編成: 特定のローカル局が全国ネットとは異なる番組を放送する際に、裏送りが行われる。

裏送りには光ファイバー回線や人工衛星回線が使用され、その回線は通常の中継用のシステムとは別に設けられています。また、スタジオや副調整室以外での裏送りには「臨時回線」という名称が用いられます。ローカル局が送られた番組をリアルタイムで放送しない場合もあり、あらかじめ素材を受け取って放送時間を前倒しする「先行ネット」や、自局で収録して遅れる場合の「遅れネット」なども含まれます。

具体例

過去の事例をみると、以下のような使用ケースがあります。

• - 1960年代から1970年代にかけて、キー局は全国の系列局向けにアニメやドラマを送信することがありました。特に、放送時間帯が同じになりやすい傾向がありました。
• - 特別編成のため、通常放送しない時間にキー局からの裏送りを行うことがある。これにより、ローカル局は多様な番組を提供できます。
• - 政見放送や重大ニュースなど特別なイベントがある時、裏送りを通じて全国の地域に情報を届ける事例もあります。

スポーツ中継

キー局がスポーツ中継をしている場合、ネット受けをしていないローカル局向けに定時でレギュラー放送を行うことがあります。例えば、高校野球選手権の中継中に、その時間に放送を休止する番組をローカル局向けに裏送りで放送することや、アニメシリーズの新エピソードを先行ネットで放送することもあります。

特にラジオのプロ野球中継では、ローカル局がクロスネットを組んでいることが多いため、裏送りへと変化しやすい状況となります。これにより、リスナーは異なるサウンド体験をすることができます。また、ビジターチームの放送局を通じて中継を行う実例もあり、主に地域のニーズに応じた多様な番組を提供することができます。

製作局との協力

放送や制作における協力体制も裏送りにおいて重要な要素です。制作局とビジターチーム本拠地の局が異なる場合、通常は制作の依頼や共演が行われることが多いですが、ビジターチーム本拠地の局が自局で放送しない場合には別の素材を受け取ることも見られます。こうしたシステムは放送業界の技術的側面や番組編成の柔軟性を維持するためにも重要です。

結論

裏送りは、テレビやラジオを通じてローカル局に別の番組や素材を供給する手段であり、特に地域に根ざした多様なコンテンツを提供するための一つの方式です。ネットワークを活用することによって、各地で異なるニーズに応じた放送の形態が整えられ、視聴者に多彩な選択肢を提供することが可能です。

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