先行ネット

先行ネットとは

先行ネットとは、テレビ番組の放送において、制作局よりも系列のネット局が早い時間に放送する現象を指します。これは裏送り放送の一種であり、かつては地方局がキー局よりも早く新作番組を放送するケースが稀に見られました。

概要

現在では、地方局が在京キー局より先に新作番組を放送することはほとんどありません。しかし、かつてはクロスネット局などが多かった時代には、遅れネットと共に各地で見られました。特に、番組編成の都合や、スポーツ中継などの特別番組によって放送時間が変更される際に、先行ネットが発生することがありました。

遅れネット、同時ネットとの差異

遅れネット: 制作局が放送した時間よりも後に、別の局が放送すること。
同時ネット: 制作局と同時に、別の局が放送すること。
先行ネット: 制作局よりも前に、別の局が放送すること。

先行ネットは、遅れネットや同時ネットとは異なり、以下の手順を踏む必要があります。

1. 制作局がネット局に放送データを送信
2. ネット局が放送
3. 制作局が放送

つまり、制作局は同じデータをネット局と自局の視聴者のために、少なくとも2回送信する必要があります。

先行ネットが生じる理由

先行ネットが発生する主な理由は以下の通りです。

番組編成の都合:
キー局の番組放送時間帯に、ローカル局が自社制作番組や他系列の番組を放送する場合。
番組販売扱いの番組で、キー局の都合により放送時間が合わない場合。
準キー局制作の番組で、キー局の編成都合で臨時枠移動となった場合。
制作局の放送休止や放送時間変更:
制作局がスポーツ中継や特別番組で臨時枠移動した場合。
過去には、キー局の番組が臨時枠移動になったにも関わらず、遅れネットの系列局が通常時間に放送したため、先行ネットとなったケースもありました。
放送局の再編:
放送局の再編がある場合、再編日より後に放送される回を、再編日前に先行して放送することがあります。

先行ネットの具体的な事例

準キー局制作のネットワークセールス枠番組:
準キー局が、ゴールデンタイムに関西ローカルでプロ野球中継を放送する場合、他のネット局では本来の時間に放送するため、先行ネットとなる。
朝日放送テレビが、高校野球中継で通常放送を延期した場合、他のネット局では通常通り放送するため、先行ネットとなる。
『FNSの日』における『サザエさん』スペシャル:
『FNSの日』の生放送進行により、開始時間が前後するが、「27時間テレビ」を放送しないテレビ大分では通常時間に放送するため、先行ネットとなる。
NHK総合の『連続テレビ小説』:
8月6日が月～土曜日と重なる場合、中国地方では平和記念式典中継のため、7時45分からの先行放送となる。
過去の事例:
テレビ長崎と鹿児島テレビが、フジテレビ系列の番組を30分前倒しで放送していた。
山形テレビが、フジテレビ系列からテレビ朝日系列への移行に伴い、昼ドラマを2話分まとめて先行放送した。
テレビ朝日版ガンダムシリーズの最終作『機動新世紀ガンダムX』は、制作局のみ放送時間が変更されたため、一部系列局が先行放送となった。
福井放送、四国放送、南海放送で、日本テレビ系列の番組を30分前倒しで放送していた。
バラエティ番組『鶴瓶・上岡パペポTV』の最終回において、日本テレビが読売テレビでの放送より5日前に先行放送を行った。
スポーツ中継で、制作局が深夜に録画放送する試合を、アウェー側系列局が生中継する場合。
『剣客商売（藤田まこと版第5シリーズ）』が、関西テレビで先行放送された。
北海道テレビ放送（HTB）制作の『水曜どうでしょうClassic』で一部ネット局で先行放送となった。
『水10!』で、あるある大事典シリーズをネットしていなかったテレビ宮崎で先行放送された。
『福嵐特別企画!フジテレビの嵐全部見せます!こたつDE嵐』を岡山放送で先行放送した。
『シルシルミシルさんデー』を北海道テレビで先行放送した。
『ライオンのごきげんよう』を山梨放送と四国放送で先行放送した。
* 連続テレビ小説の「てっぱん」がBS放送で先行放送された。

まとめ

先行ネットは、番組編成の都合や特別な事情によって発生する現象です。かつては地方局で多く見られましたが、現在ではその数は減少しています。しかし、特定のケースでは今でも発生することがあり、テレビ放送の複雑さを物語る現象の一つと言えるでしょう。

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