裸体と衣裳

『裸体と衣裳』の概要

『裸体と衣裳』は、著名な作家三島由紀夫の公開日記形式で執筆された評論・随筆集であり、1958年2月17日から1959年6月29日までの約1年半の期間を対象としています。この作品には、彼の文芸に対する広範な視点や、オペラや映画に関する感想が盛り込まれており、芸術への情熱が随所に表れています。

発表経過

この作品は1958年4月に文芸雑誌『新潮』で「日記」のタイトルを冠して連載が始まり、翌年の1959年9月まで続きました。最終的には1959年11月30日に新潮社から単行本として刊行されました。文庫版も存在しましたが、その後は絶版となり、現在では講談社文芸文庫に収録されています。

内容の特色

本書では、戯曲の創作方法や小説家としての考察、さらに多様な文献からの読書感想などが綴られています。三島は、武田泰淳や司馬遼太郎など、様々な作家や作品についての独自の視点を提供し、さらにボクシング観戦や映画鑑賞といった牛刀の切り口で自らの体験や感情を表現しています。特に、映画やオペラ、公演の感想には彼自身の深い洞察があり、芸術と人間の存在についての考察が際立っています。

彼の日記には、映画『炎上』の撮影見学や、歌舞伎やバレエ、あるいはオペラ観劇に関する記述も豊富で、これらの体験が彼の文学的インスピレーションにどのように影響を与えたのかを垣間見ることができます。また、政治や社会問題への考察も含まれており、自身の結婚観や新婚旅行記、さらには家族の誕生に関する感慨なども多く記されています。

外遊日記の特集

この作品には「附・外遊日記」と題された部分もあり、三島が海外での体験を綴ったセクションが特報されています。1957年から1958年にかけての記録には、ニューヨークやローマ、メキシコシティなどでの出来事や交流が詳述されており、国際的な視点から見た日本文化への考察もまた興味深いものがあります。

おわりに

『裸体と衣裳』は、三島由紀夫の内面的な葛藤や芸術的探求を余すところなく描写しており、彼の作品に対する理解を深めるための貴重な資料となっています。彼の文体に触れ、彼の独自の視点から日本の文化や芸術について考える機会を提供してくれる一冊です。文学や芸術に興味がある人にとって、必読の書と言えるでしょう。

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