裸足の伯爵夫人

裸足の伯爵夫人

『裸足の伯爵夫人』（原題：The Barefoot Contessa）は、1954年に公開されたアメリカとイタリアの合作映画である。監督はジョーゼフ・L・マンキーウィッツが務め、主演にはハンフリー・ボガートとエヴァ・ガードナーが名を連ねている。この作品は、映画業界の裏側や華やかなフィルム界の光と影を描いたストーリーで、多くの観客を魅了した。

あらすじ

物語は、落ち目の映画監督ハリー・ドーズが、新たに映画製作を始めたテキサスの大地主カーク・エドワーズから仕事の依頼を受けるところから始まる。期待を掛けられたハリーとカーク、そして宣伝担当のオスカーの3人は、キャストを選ぶためにヨーロッパへ向かう。そこで出会ったのは、マドリードのキャバレーで踊るダンサー、マリア・バルガスだ。彼女に「マリア・ダマタ」という芸名を与え、映画の撮影を開始。

マリアの登場で映画は大ヒットを記録するが、彼女の私生活には思いもよらぬ転機が待ち受けていた。彼女が母を殺した罪で起訴された父親の弁護のために戻り、法廷で証言するシーンは印象的で、結果的に彼女の立場は支持されることとなる。

その後もハリーとマリアは友達であり続け、映画界でのキャリアを築いていく。だが、あるパーティーで南米の富豪アルフベルト・ブラヴィーノが彼女に興味を示し、やがて彼女は伯爵と結婚することになる。この結婚に不安を覚えたハリーだったが、彼は変わらずマリアを支える立場にいた。

数ヶ月後、マリアから伯爵が戦争で負った傷を告白され、妊娠していると知らされる。これを聞いたハリーは不吉な予感に襲われ、彼女が住む伯爵邸に急行。しかし、二発の銃声が響き渡り、現れた伯爵が自らの行為を告白。その後、ハリーはマリアの葬儀に参列し、伯爵は逮捕される。

キャスト

本作には、多彩なキャストが出そろった。特に、エヴァ・ガードナーが演じるマリアは映画の中心的な存在であり、彼女の演技力が高く評価された。ハンフリー・ボガートもまた、彼の演技で物語に深みを与えている。

製作背景

『裸足の伯爵夫人』は、ジョーゼフ・L・マンキーウィッツにとって、特に華やかな「ハリウッド」映画として知られる。製作は主にローマのチネチッタスタジオで行われ、野外シーンはティボリやサンレモなどの美しい場所で撮影された。

評価

映画は公開後、多くの批評家に称賛され、その華やかな映像美が高く評価された。フランソワ・トリュフォーなどの評論家は、映画の誠実さや斬新さに触れ、監督や俳優たちのパフォーマンスを称賛している。

受賞歴

アカデミー賞では、エドモンド・オブライエンが助演男優賞を受賞し、マンキーウィッツも脚本でノミネートされた。また、ゴールデングローブ賞でもエドモンド・オブライエンが助演男優賞を受賞しており、映画の評価は高い。

『裸足の伯爵夫人』は、魅力的なキャラクターと緊張感あふれるストーリーで、映画史において重要な位置を占める作品となっている。

もう一度検索