裾分一弘

裾分一弘：レオナルド・ダ・ヴィンチ研究の第一人者

裾分一弘（1924年11月21日 - 2016年2月17日）は、日本の西洋美術史学者であり、学習院大学の名誉教授でした。彼は、特にレオナルド・ダ・ヴィンチ研究における第一人者として、その名を知られています。

生涯と学歴

岡山県に生まれた裾分一弘は、九州帝国大学（現在の九州大学）文学部哲学科を卒業後、同大学院を修了しました。その後、1958年に九州大学の助手となり、1962年には武蔵野美術大学の助教授に就任。1967年からは学習院大学文学部の教授として教鞭を執り、1995年に定年退任し、名誉教授となりました。

研究活動

裾分一弘の研究は、レオナルド・ダ・ヴィンチの芸術と思想に深く根ざしています。彼は、ダ・ヴィンチの絵画論や手稿に関する研究において、数多くの重要な貢献をしました。その研究は、単なる美術史の枠を超え、ルネサンス期の人間観や芸術思想にまで及んでいます。

著書と業績

裾分一弘は、数多くの著書を出版し、レオナルド・ダ・ヴィンチ研究の発展に大きく貢献しました。以下に、彼の主要な著書をいくつか紹介します。

『レオナルド・ダ・ヴィンチの「絵画論」攷』（中央公論美術出版、1977年）
『レオナルド・ダ・ヴィンチ 手稿による自伝』（中央公論美術出版、1983年）
『レオナルドに会う日』（中央公論美術出版、1984年）
『イタリア・ルネサンスの芸術論研究』（中央公論美術出版、1986年）
* 『レオナルドの手稿、素描・素画に関する基礎的研究』（中央公論美術出版、2004年）

また、彼は翻訳家としても活躍し、ヴァザーリの『レオナルド・ダ・ヴィンチ伝』やダ・ヴィンチ自身の『マドリッド手稿』など、重要な文献の翻訳を手がけました。

受章

長年の研究活動が評価され、2003年11月には瑞宝中綬章を受章しました。

レオナルド・ダ・ヴィンチ手稿

裾分一弘の研究は、レオナルド・ダ・ヴィンチ手稿の解読と解釈に大きく貢献しました。手稿は、ダ・ヴィンチの思考や創作過程を直接的に知るための貴重な資料であり、裾分一弘の研究によって、その内容がより深く理解されるようになりました。

裾分一弘は、日本の西洋美術史研究、特にレオナルド・ダ・ヴィンチ研究において、多大な足跡を残しました。彼の研究は、今後も多くの研究者や芸術家にとって重要なインスピレーションの源となるでしょう。

もう一度検索