複合加工機

複合加工機とは

複合加工機は、NC旋盤とマシニングセンタという、それぞれ異なる機能を持つ工作機械の能力を一台に集約したものです。これにより、従来の製造プロセスで必要だった複数の機械を渡り歩く手間を省き、加工時間の短縮と生産性の向上を実現します。

複合加工機の種類

複合加工機には、大きく分けて2つのタイプがあります。

1. NC旋盤をベースとした複合加工機:
このタイプは、従来のNC旋盤にマシニングセンタの機能を加えたものです。具体的には、スピンドルのインデックス機能（任意の角度でスピンドルを停止させる機能）や、フライス加工専用のミーリングスピンドルが追加されています。
工具の交換は、ATC（自動工具交換装置）を用いる場合と、NC旋盤のターレットに回転工具を取り付けて行う場合があります。これにより、旋削加工だけでなく、フライス加工、穴あけ加工など、多様な加工を一台で行うことができます。

2. マシニングセンタをベースとした複合加工機:
このタイプは、マシニングセンタに旋盤機能を加えたものです。マシニングセンタのインデックステーブルに高速回転機構を設け、スピンドルにバイトを取り付けて旋削加工を行います。
このタイプも、マシニングセンタとしての機能に加え、旋削加工が可能になることで、より複雑な形状の部品加工に対応できます。

複合加工機のメリット

複合加工機の導入には、以下のようなメリットがあります。

段取り時間の削減: 複数台の工作機械を使用する場合に比べて、ワークの移動や再セットアップの手間が減り、段取り時間を大幅に短縮できます。
加工精度の向上: 一台の機械で複数の加工を連続して行うため、ワークの移動による誤差が少なくなり、加工精度が向上します。
省スペース化: 複数の機械を設置する必要がなくなり、工場内のスペースを有効活用できます。
生産性の向上: 機械間の移動時間や段取り時間を削減することで、全体の加工時間を短縮し、生産効率を大幅に向上させることができます。

日本の主要メーカー

複合加工機を製造・販売している日本の主要メーカーとしては、以下のような企業が挙げられます。

中村留精密工業
オークマ株式会社
TAKISAWA
松浦機械製作所
DMG森精機
ヤマザキマザック株式会社
* ブラザー工業

これらのメーカーは、それぞれ独自の技術とノウハウを活かし、高品質な複合加工機を開発・提供しています。複合加工機の導入を検討する際は、これらのメーカーの製品を比較検討することが重要です。

まとめ

複合加工機は、一台で多様な加工を可能にする革新的な工作機械です。その導入により、生産性の向上、コスト削減、品質向上など、多くのメリットが得られます。近年では、より高度な制御技術や自動化技術が導入され、その進化はますます加速しています。製造業における競争力強化に不可欠な存在と言えるでしょう。

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