マシニングセンタ

マシニングセンタ：多様な加工を可能にする自動化された工作機械

マシニングセンタは、自動工具交換機能を搭載したNCフライス盤です。多数の切削工具を備えた工具マガジンとコンピュータ数値制御（CNC）により、フライス加工、穴あけ、ねじ立てなど、様々な加工を自動で連続して行うことができます。1958年、アメリカのKerny & Trecker社が世界で初めて「マシニングセンタ」と命名し、発表しました。この機械は、正面フライス、エンドミル、ドリル、タップ、リーマなどの工具をプログラムに従って自動交換することで、従来の月単位だった工程を分単位に短縮できると謳われました。

マシニングセンタの種類と特徴

マシニングセンタは、主軸の向きによって大きく2種類に分類されます。

1. 横形マシニングセンタ

主軸が水平方向にあるタイプです。4面割出し可能なテーブルと自動パレット交換装置を備え、一般的には直交3軸（X,Y,Z軸）とパレット回転軸（B軸）の4軸制御が可能です。

特徴: パレット回転による割出し加工が可能で、一度の段取りで複数の部品を加工できます。工具の軸が水平なため、切りくずの排出性が良好です。一方で、主軸先端の垂れによる精度低下に配慮が必要です。

2. 立形マシニングセンタ

主軸が垂直方向にあるタイプです。直交3軸制御と自動工具交換装置を備えています。

特徴: 設計図面通りの加工が容易で、機械の動作を理解しやすいです。金型加工に適しており、長いテーブルに複数のワークを並べて加工できます。しかし、切りくずの排出が難しい場合があります。

3. 5軸制御マシニングセンタ

直交3軸に加え、2軸の旋回軸（A軸とC軸など）を有し、これらを同時に制御できます。テーブル旋回型、主軸頭旋回型、混合型など様々な形態があります。

特徴: ワーク上の任意の点に任意の角度で工具を当てられるため、複雑な形状のワークをジグや段取り替えなしで加工できます。ジェットエンジン部品や人工関節など、複雑な形状の部品加工に最適です。

4. 門形マシニングセンタ

主軸を支える構造体が門型をしているタイプです。

特徴: 大型ワークの加工に適しています。テーブルを大きくでき、Y軸駆動機構をテーブル上空に配置できるため、設置スペースの効率化に繋がります。門柱2本で主軸を支えるため、大型加工における精度（Y-Z直角度）が優れています。

マシニングセンタの駆動方式

マシニングセンタの各軸の駆動方式には、主に以下の3種類があります。

1. ボールねじ駆動方式

X,Y,Z軸などに多く用いられます。安価ですが、バックラッシュや温度変化による影響を受けやすい点がデメリットです。

2. リニア駆動方式

リニアモータを用いた方式です。非接触駆動のため、高速加減速と高精度な位置決めが可能です。ただし、コストが高く、専用の制御装置が必要となります。また、重切削には不向きです。

3. ウォーム駆動方式

テーブルなどの回転軸に用いられます。構造が簡単ですが、バックラッシュの影響を受けやすいです。

マシニングセンタの製造メーカーと市場動向

日本のマシニングセンタ市場は、バブル崩壊後、長期の景気低迷により大きな変動がありました。2008年のリーマンショックを境に生産額は激減しましたが、その後は回復傾向にあります。2004年時点では、ヤマザキマザック、牧野フライス製作所、DMG森精機、オークマなどが主要メーカーとして高いシェアを占めていました。

参考文献

東芝機械マシニングセンタ研究会『知りたいマシニングセンタ』ジャパンマシニスト社
伊藤 勝夫『マシニングセンタのプログラム入門』大河出版
関口 博『マシニングセンタ加工のツボとコツQ&A』日刊工業新聞社

関連項目

複合加工機

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