西久保弘道

西久保 弘道の生涯と業績

西久保 弘道（にしくぼ ひろみち、1863年6月30日 - 1930年7月8日）は、日本の内務官僚、政治家、そして剣道家としての偉大な業績を持つ人物です。彼は福島県知事や北海道庁長官、警視総監、貴族院議員、東京市長など、多くの公職を歴任し、また大日本武徳会の武道専門学校の校長に就任するなど、武道界にも大きく貢献しました。

生い立ちと教育

西久保は三重県警部長の家に生まれ、肥前国佐賀郡の鍋島村八戸で育ちました。学業の面では、司法省法学校予科を経て東京帝国大学法科大学を卒業し、法律の深い知識を身につけました。この教育背景が以後の官僚としての活動に大きく寄与することとなります。

官職としての軌跡

内務省での勤務を経て、官僚としてのキャリアを積み重ねた弘道は、福島県知事（第19代）、北海道庁長官（第13代）、警視総監（第23代）と重要なポジションを歴任しました。特に、彼は大礼使参与を務め、その功績により勲二等瑞宝章を受章するなど、内務省内での地位を確立しました。その後、1916年には貴族院議員に勅選され、東京市長（第11代）を含む様々な役職を担いました。彼の業績はそれにとどまらず、彼の卒去の際には勲一等瑞宝章が贈られています。

剣道への情熱

西久保は武道家としても知られています。特に、彼は山岡鉄舟に師事し、一刀正伝無刀流を学びました。1919年からは大日本武徳会で副会長嘱託及び武道専門学校の校長として、多くの武士や学生たちに影響を与えました。彼は武道を「人を傷つけるものではなく、心身を鍛えるためのものである」という思想を広め、武術という名称を「武道」に改めたことで、武道の本質を伝える重要な役割を果たしました。1929年には剣道範士の称号を取得し、その技術と知識は多くの後進に受け継がれました。

エピソードと名言

西久保弘道は「稽古は神聖犯す可からず」という名言を残しました。この一節は、武道の精神と稽古に対する敬意を強調しています。彼の考え方は、今日の武道界にも影響を与えており、武道を通じて心を磨く重要性を教えています。

栄典と家族

弘道はその生涯を通じて多くの栄典を受け、位階も従四位から正四位へと昇進しました。また、彼の勲章には勲四等瑞宝章から勲一等瑞宝章、旭日重光章などがあります。彼の家族にも優れた人物が多く、父は佐賀藩藩士で内務官僚を務め、弟や甥も軍や内務に従事しました。彼自身に子は無く、代わりに実妹の子を嗣子として育てました。

著作と影響

西久保は自身の武道に対する考え方を著作としてまとめており、代表作に『武道講話』や『西久保氏武道訓』があります。これらの著作は、武道の理念や技術がどのように形成されたのかを理解する手助けとなります。また、彼に関する評伝も多く発表されており、彼の業績は後世に語り継がれています。彼の生涯は、多様な分野で成功を収めた日本人のひとつの顔として、また武道の発展に寄与した偉大な教師として人々に記憶され続けています。

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