西光寺 (香川県宇多津町)

西光寺：歴史と文化が息づく宇多津の古刹

香川県綾歌郡宇多津町に佇む西光寺は、鎌倉時代、1208年の創建と伝えられる浄土真宗本願寺派の寺院です。町のほぼ中心部に位置し、歴史と文化が息づく静寂な空間を保っています。

歴史の軌跡：法然上人から現代へ

西光寺の起源は、浄土宗の開祖である法然上人が讃岐に流された際に草庵を結んだことに遡ります。その後、弟子である然慶に譲られ、青ノ山山麓で「鍋屋道場」と呼ばれていました。その後、細川頼之によって現在地に移転されましたが、一度は荒廃の時期を迎えたと伝えられています。

天文8年（1539年）、本願寺第十代証如上人の弟子、進藤向専によって浄土宗から真宗へと改宗されました。大阪石山合戦においては、本願寺への兵糧支援を行ったという記録も残されています。長い歴史の中で幾多の変遷を経てきた西光寺は、現在も地域の人々の信仰の中心として大切に守られています。

見どころ：歴史的建造物が織りなす境内

西光寺の境内には、歴史的価値の高い建造物が数多く残されています。

山門: 寺院の入口として威厳を放つ山門は、長い歴史を物語る重要な建造物です。
本堂: 天保年間（1833年）に再建された本堂は、高松藩抱えの大工、櫛橋一族によるものです。真宗寺院の典型的な様式を踏襲しつつ、華麗な彫刻が施された見事な建築様式が特徴です。
船屋形茶室: 香川県指定有形文化財に指定されている船屋形茶室は、多度津藩の御座船「順風丸」または「日吉丸」の上部構造物を移築したとされています。全長7.4m、切妻造りの桟瓦葺、造り二階建ての珍しい建物で、内部は1階が3部屋、2階が2畳間2室と1畳間という構成になっています。2階の屋根は船底形状となっており、その独特の造形は訪れる者を魅了します。
書院、納骨堂、鐘楼堂: これらの建物も、西光寺の長い歴史を物語る重要な建造物です。

寺院行事：地域と繋がる信仰の営み

西光寺では、年間を通して様々な法要や行事が行われています。中でも、船屋形茶室の公開は、普段は見られない貴重な機会です。公開日は1月15日、3月16日、5月21日、8月22日、9月23日、そして3月上旬の「うたづの町家とおひなさん」に合わせて公開されます。その他の行事としては、御正忌報恩講、久米通賢翁御命日法要、宗祖降誕会・西光寺市、お虫干し会、燈籠流し、彼岸会永代経、秋の日帰り旅行などがあります。これらの行事は、地域の人々と共に西光寺の歴史と文化を継承していく上で重要な役割を担っています。

西光寺を訪れて

西光寺は、単なる寺院という枠を超え、歴史、文化、そして地域社会と深く結びついた存在です。静寂に包まれた境内を散策し、歴史的建造物に触れ、地域の人々の信仰の営みを感じ取ることができるでしょう。宇多津町を訪れる際は、ぜひ西光寺に立ち寄ってみてください。

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