西千明

西 千明（にし ちあき）

西 千明は、1983年6月16日生まれ、愛知県岡崎市出身の元女子プロレスラーです。身長161cm、体重63kg、血液型はB型。プロレスラーとしての活動期間はわずか1年7か月という短いものでしたが、その個性的なキャラクターと予測不能なキャリアパスは、今なおファンの間で語り草となっています。

プロレス界への第一歩

1999年、西千明は吉本女子プロレスJd'の門を叩きました。Jd'は吉本興業系列のプロレス団体として、エンターテイメント色の強いユニークな活動を展開していました。彼女は練習生時代から、先輩である阿部幸江選手の入場テーマ曲「貧乳」に合わせてバックダンサーを務めるという、極めて異色な方法で注目を集め始めます。このユニークなパフォーマンスは、従来のプロレスの枠にとらわれないJd'らしさを象徴する一幕であり、練習生ながらも彼女の存在を多くのファンに印象付けました。

デビュー戦とリング上での活躍

練習生期間を経て、2000年8月3日、プロレスの聖地とも称される後楽園ホールで、西千明は待望のデビューを果たしました。そのデビュー戦の相手は、皮肉にも練習生時代にバックダンサーを務めていた阿部幸江選手でした。先輩相手に堂々としたファイトを見せた彼女は、プロレスラーとしてのキャリアをスタートさせました。

天然キャラクターと異分野での活動

リング上での真剣な戦いを見せる一方で、西千明はリングを離れると「ナチュラル・ボーン・ナチュラル」と呼ばれるほどの天性の天然ぶりを発揮しました。この独特なキャラクターは多くのファンに愛され、彼女の魅力の一つとなりました。その天然ぶりが高く評価され、2001年10月には、本拠地である吉本興業の花形である吉本新喜劇にゲスト出演するという、プロレスラーとしては異例の経験もしています。これは、彼女の持つエンターテイナーとしての才能と、Jd'という団体の特色が生んだユニークなエピソードと言えるでしょう。

NEO女子プロレスでの挑戦とタッグ結成

Jd'での活動と並行して、西千明は当時の女子プロレス界で存在感を示していたNEO女子プロレスにも定期的に参戦し、主戦場の一つとしました。NEOのリングでは、JWP女子プロレス所属（当時）のアキュート冴選手とタッグを結成します。そのタッグ名は「反マシンガンズ同盟」。当時NEOのタッグ戦線を牽引していたNEOマシンガンズ（タニー・マウス＆宮崎有紀組）に対抗する形で結成されたユニットでした。反マシンガンズ同盟はNEOマシンガンズと激しい抗争を展開し、タッグ戦線に新たな火花を散らしました。

タイトル獲得と短い頂

反マシンガンズ同盟としての活動の中で、西千明はキャリアで唯一となるタイトルを獲得しています。アキュート冴選手とのコンビで、板橋グリーンホール認定タッグ王座に輝いたのです。これは、彼女のリング上での実力が伴っていたことの証明であり、短いキャリアにおける重要な功績となりました。タイトルを獲得し、タッグ戦線の中心で活躍するなど、まさにこれからという時期を迎えているように見えました。

突然の引退表明

順調にキャリアを積み重ねているかに見えた西千明ですが、ファンにとって全く予想外の出来事が起こります。2002年3月3日、NEO女子プロレスの板橋グリーンホール大会で行われたMARU選手とのシングルマッチを終えた後、彼女は突然マイクを握り、「普通の女の子に戻りたい」と引退の意向を表明したのです。そのあまりにも突然の発表は、会場に駆けつけたファンに大きな衝撃を与えました。

1年7か月のプロレス人生に幕

引退表明から約1か月後、2002年3月31日には引退式が執り行われ、西千明はプロレスラーとしてのキャリアに正式に幕を下ろしました。1999年の入門からわずか約1年7か月という短い現役期間でした。練習生時代の異色なバックダンサー、後楽園ホールでのデビュー、天然キャラクターでの異分野進出、NEOでのタッグ活動とタイトル獲得、そして突然の引退。その短い期間に凝縮された波乱に富んだキャリアは、多くのファンの記憶に鮮烈な印象を残しました。普通の女の子に戻ることを選んだ彼女は、プロレスラーとして駆け抜けた短い期間の中で、確かにその存在を刻んだのです。

その他情報

入場テーマ曲: EVERYTHING COUNTS（SUBSONIC FORCE）- アルバム「ダンスマニア10」に収録されていました。
関連項目: プロレスラー一覧

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