西尾市立図書館

西尾市立図書館は、愛知県西尾市にある公共図書館の総称です。本館と3つの分館で構成されており、地域住民の学習や文化活動を支える重要な役割を担っています。

概要

西尾市立図書館は、本館（亀沢町）に加え、西尾市立一色学びの館（旧一色町）、西尾市立吉良図書館（旧吉良町）、西尾市立幡豆図書館（旧幡豆町）の3つの分館からなります。本館は西尾市岩瀬文庫に隣接しており、敷地内には登録有形文化財である西尾市立図書館おもちゃ館（旧岩瀬文庫児童館）があります。

2015年度末のデータによると、蔵書数は720,308冊、貸出冊数は1,079,928冊でした。西尾市の人口は170,869人であるため、住民1人あたりの蔵書数は約4.2冊、貸出冊数は約6.3冊となります。また、同年度の図書購入費は4370万9753円、図書購入冊数は24,205冊でした。

歴史

年表

1955年（昭和30年）4月：財団法人岩瀬文庫を西尾市が引き継ぎ、西尾市立図書館岩瀬文庫が開館。
1983年（昭和58年）8月：西尾市立図書館が開館。
1984年（昭和59年）10月：幡豆郡吉良町に吉良町立図書館が開館。
1988年（昭和63年）11月：幡豆郡一色町に民俗資料館と図書館の複合施設である学びの館が開館。
1992年（平成4年）7月：幡豆郡幡豆町に幡豆町立図書館が開館。
2011年（平成23年）4月1日：西尾市に一色町・吉良町・幡豆町の3町が編入合併。各図書館は西尾市立一色学びの館、西尾市立吉良図書館、西尾市立幡豆図書館に改称。

前史

1908年（明治41年）には実業家の岩瀬弥助によって私立図書館である岩瀬文庫が開館しました。当初から蔵書は一般に無料で公開されており、当時としては珍しい私設の公開文庫でした。1930年（昭和5年）に岩瀬弥助が亡くなると、遺言により財団法人が設立され、岩瀬文庫の運営を引き継ぎました。

西尾市立図書館岩瀬文庫（1955年 - 1967年）

戦後、岩瀬文庫の運営が困難になったため、市民らの要望により1955年（昭和30年）に西尾市が岩瀬文庫の土地・建物・蔵書を譲り受け、西尾市立図書館岩瀬文庫として開館しました。この際、約10万冊の蔵書が西尾市によって購入されています。

開館当初は週4日開館で、祝日は休館でした。市民からの募金や図書の寄贈により、蔵書や庭園の整備が進められました。1957年（昭和32年）時点の蔵書数は岩瀬文庫が約10万冊、一般書が約5,000冊でした。

西尾市立図書館岩瀬文庫・西尾市郷土館（1967年 - 1983年）

1967年（昭和42年）には、西尾市出身の元衆議院議員である小笠原三九郎から6,039冊の蔵書の寄贈を受け、図書館は小笠原文庫を開設、さらに西尾市郷土館（小笠原三九郎翁顕彰記念館）が建設されました。これらの施設は一体的に運営され、図書館機能を補完しました。

1973年（昭和48年）には館外貸し出しが開始され、1975年（昭和50年）には貸出方式が記帳式から逆ブラウン方式に変更されました。1979年（昭和54年）時点の蔵書数は岩瀬文庫が約10万冊、一般書が約3万冊でした。

西尾市立図書館（1983年 - ）

1983年（昭和58年）には、西尾市初の本格的な図書館として西尾市立図書館が開館しました。これにより、岩瀬文庫は図書館としての役割を終えました。1993年（平成5年）には愛知県図書館とオンラインで結ばれ、2002年（平成14年）にはウェブサイトを開設しました。

2011年（平成23年）には西尾市が周辺3町を編入合併したことにより、各町の図書館が西尾市立図書館の分館となりました。同時に、開館時間の変更や貸出冊数の増加、雑誌スポンサー制度の導入など、サービスの拡充が図られました。

各館

西尾市立図書館本館

本館は、名鉄西尾線西尾口駅から徒歩約10分の場所に位置しています。鶴城公園の一角にあり、西尾市岩瀬文庫と隣接しています。延床面積は3,256.571m²で、2015年度末の蔵書数は374,693冊、貸出数は696,861冊でした。

一色学びの館

一色学びの館は、図書館部分と展示館部分からなる複合施設です。展示館には、三河一色大提灯まつりで使用される大提灯が常設展示されています。2018年（平成30年）にはリニューアルオープンし、指定管理者制度が導入されました。

吉良図書館

吉良図書館は、旧糟谷邸（愛知県指定有形文化財）と同一敷地にあり、周辺の景観に調和した外観が特徴です。2015年度末の蔵書冊数は137,901冊、貸出冊数は130,980冊です。

幡豆図書館

幡豆図書館は、三河湾を見渡せる高台に位置しています。館内からは美しい海の景色が楽しめます。2015年度末の蔵書冊数は66,773冊、貸出冊数は69,923冊でした。

配本所

西尾市内には、ふれあいセンターや児童館などに配本所が設置されています。これらの施設を利用することで、図書館の本を借りたり、返却したりすることが可能です。

サービス

西尾市立図書館本館の開館時間は9時から19時、各分館は9時から18時です。休館日は毎週月曜日（本館は第3木曜日も休館）です。館外貸出は、愛知県在住・在勤・在学者を対象とし、1人20冊まで15日間借りることができます。

西尾市立図書館は、市民の身近な学習・文化拠点として、今後も地域社会に貢献していくことが期待されます。

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