西山夘三

西山夘三について

西山夘三（にしやま うぞう、1911年3月1日 - 1994年4月2日）は、日本における建築学および都市計画の発展において重要な役割を果たした建築家であり建築学者です。彼は住宅問題を真摯に研究し、科学的な視点からその解決策を模索しました。著作も多く、特に「食寝分離」といった住まい方の法則は、現代の住宅計画においても大きな影響を与えています。

生い立ちと学び

西山は大阪市此花区の工業地域で生まれました。重工業の中心地で育った彼は、1930年に第三高等学校を卒業後、京都帝国大学に進学し、建築学を学びました。在学中、彼は同級生とともに「DEZAM」と呼ばれるグループを結成し、社会主義的な思想に傾倒していきます。この時期に、彼は日本工業都市に建つ共同住宅をテーマにした建築展に作品を出展しました。1933年に卒業後、彼は専門知識を活かして建築事務所での仕事を始めましたが、敗戦による社会情勢の変化もあって様々な職に就くことになります。

戦争とその後の活動

兵役を経て大学院に進んだ西山は、さまざまな研究を通じて庶民住宅に関する研究を深化させました。1942年には「住宅問題」と題する著作を公表し、これが文部省推薦図書に選ばれます。彼の研究は、庶民向けの住宅計画の基礎を築くことにつながりました。1946年には京都大学で助教授となり、住宅問題の研究を続け、1947年には「庶民住宅の研究」という博士論文を提出し、工学博士の学位を取得しました。

都市計画における貢献

西山は、様々な都市計画や住宅建設のプロジェクトに関与しました。1943年の「大東亜聖地祝祭都市」計画や、戦後の「大阪復興計画」など、多くの提案がなされました。また、1958年には「香里団地計画」などのプロジェクトも手掛け、住宅政策に重要な貢献を果たしました。彼の提言は、東京都心の高密度な居住環境の設計や、農村・漁村の調査研究においても重視されました。

著作と研究

彼の著作は数多く、特に『これからのすまい』や『住み方の記』は彼の思想を形にしたものです。これらの著作は、日本の住宅計画に多大な影響を与え、特に「食寝分離」に関する考え方は公営住宅の標準設計にも採用されました。彼の指導の下で築かれた「nDKモデル」は、現代の日本の住宅設計において一般的に見られる形式となっています。彼の成果は、建築という視点からの社会貢献という形で数々の評価を得ました。

最後の年々

彼の晩年は、新しい建築や都市計画への提言を続け、さらには環境保護運動にも熱心に関わりました。1994年、彼は病気によりこの世を去りましたが、多くの人々にその思想が受け継がれています。また、彼の遺志を受け継ぐ形で西山記念すまい・まちづくり文庫が設立され、彼の研究成果や資料が保存されています。

終わりに

西山夘三は、戦後日本の住宅や都市計画の領域で深い足跡を残した人物です。彼の研究や活動は、今もなお多くの建築家や都市計画家に影響を与え続けており、その功績は評価されるべき重要なものです。

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