西山敏明

西山 敏明

西山敏明氏は、1947年5月22日に岡山県で生を受けた元プロ野球選手です。主に外野手としてプレーしました。彼の野球人生は、地元の津山商業高校で本格的に始まりました。

高校三年生となった1965年、西山選手はチームの中心選手として夏の全国高校野球選手権大会の岡山県予選に臨みました。チームは快進撃を見せ、見事に準決勝まで勝ち進みます。この準決勝の舞台で津山商業高校が対峙したのは、当時高校球界でも屈指の好投手として名を馳せていた森安敏明氏を擁する関西高校でした。激しい攻防が繰り広げられ、試合は規定のイニングで決着がつかず、延長戦にもつれ込む熱戦となりました。しかし、善戦及ばず、津山商業高校は延長戦の末に惜敗し、甲子園本大会への出場は叶いませんでした。

高校野球での活躍が認められた西山選手は、同年秋に開催されたプロ野球のドラフト会議において、読売ジャイアンツから7位という順位で指名を受けました。プロの世界へ進むチャンスを得ましたが、西山選手はこの時の指名を辞退するという道を選択します。そして、プロ入りではなく大学へ進学することを決め、東京にある駒澤大学へ入学しました。

駒澤大学に進学し、野球部で練習に励んでいた西山選手でしたが、大学に在学中の1967年、再びプロ野球界から声がかかります。セ・リーグに所属する広島東洋カープが、西山選手に対して入団を打診してきたのです。この時の入団は、通常のドラフト会議とは異なるドラフト外での契約という形でした。プロの世界への思いが再び募った西山選手は、このオファーを受け入れ、大学を中退して広島カープの一員となることを決断しました。

1968年に広島東洋カープに入団した西山敏明選手は、外野手としてチームに加わりました。プロ野球選手としてのキャリアは1971年までのわずか4年間でしたが、この全期間を通じて背番号「54」を着用しました。プロ生活における特筆すべき出来事としては、1969年に開催されたジュニアオールスターゲームに出場したことが挙げられます。これは、プロ野球の次世代を担う若手有望選手たちが集う登竜門的な試合であり、西山選手もその一員として選ばれたことは、当時の彼への期待の大きさを物語っています。

しかし、ジュニアオールスターでの選出という実績を持ちながらも、残念ながらプロの公式戦、特に一軍の舞台では、西山選手に出場機会が多く巡ってくることはありませんでした。プロ野球界は非常に競争が厳しく、高いレベルが求められる世界です。西山選手もその壁に直面し、一軍に定着して活躍を続けるまでには至りませんでした。限られた機会の中で力を示そうと奮闘しましたが、レギュラーの座を掴むことは困難でした。

そして、プロ入りから短い期間である1971年シーズン終了をもって、西山敏明選手は現役を引退する決断を下しました。高校時代の甲子園予選での熱戦、プロ球団からの指名、大学進学を経てのプロ入り、そして短いながらもプロの世界で過ごした日々は、彼のその後の人生にとって貴重な経験となったことでしょう。プロ野球選手としては記録よりも記憶に残るキャリアだったかもしれませんが、野球に捧げた情熱は確かにそこにありました。

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