西川嘉義

西川嘉義の略歴

西川嘉義（1864年2月25日 - 1921年）は、日本の名古屋西川流舞踊の著名な舞踊家であり、尾張藩士の家に生まれました。彼女の本名は織田かぎであり、旧姓は竹村です。彼女の家系は尾張藩重臣である織田氏に寄り添い、名古屋の文化に深く関わってきました。

生い立ちと教育

西川嘉義は名古屋の飯田町にて、士族であった父竹村光慶と母ゆきのもとに生まれました。彼女の祖父竹村鶴叟は詩人としても知られ、波乱に満ちた江戸時代から明治時代への移行期において、文化的な影響を与えた存在です。特に、養母の西川幾は初代西川鯉三郎の弟子であり、多くの舞踊家を育成した名門の一員でした。

嘉義は幼少期より鯉三郎の指導を受け、1875年には名古屋西川流に正式に入門しました。彼女の名前も西川に改名され、以後、名古屋の舞踊界で育まれていくことになります。

舞踊家としての活動

明治期を通じて、嘉義は名古屋西川流の一端を担いながら数々の公演を行います。特に1896年には「西川嘉義丸門人舞踊温習会」を主宰し、自らの舞踊を広める活動に精を出しました。しかし、1899年に師の鯉三郎が亡くなると、名古屋の舞踊界には緊張感が生まれました。鯉三郎の死後、後継者争いが起こり、その影響を受けた嘉義は精神的な苦痛に苦しむことになります。

1911年には、堀江で弟子の指導に力を入れながら、「木の花踊」の創始者となるなど、新たな試みを行い続けました。1905年の養母の死は彼女にとって大きな打撃でしたが、嘉義は様々な場所で情熱を持って舞い続けました。

精神的苦悩と最期

しかし、名古屋の舞踊界における権力争いや自身の病気が重なり、嘉義は次第に精神的に追い込まれていきます。1920年には、期待されていた長子が病で急逝。これが彼女に深い影響を及ぼし、孤独感が増すばかりでした。

1921年、嘉義は兄弟弟子との争いや師匠の法要を経て、彼女の心は一層揺れ動きます。3月21日、58歳で自ら命を絶つという最期を迎えました。その死は名古屋西川流に留まらず、社会に大きな影響を与えることとなります。

死後の影響

彼女の死後、名古屋西川流は40年間も家元が空位となるなど、混乱を引き起こしました。嘉義は名古屋の美人舞踊家として知られながらも、孤独と苦悩に満ちた人生を送ったことが伝わります。彼女の業績と悲劇的な最期は、その後の舞踊界に深い傷跡を残しました。

また、1922年には坪内逍遥の手による記念碑が八事興正寺に建立され、これにより嘉義の業績が再評価されることとなりました。彼女の存在は今もなお、多くの人々によって語り継がれています。

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