西方寺 (杉並区)

西方寺は、東京都杉並区にある浄土宗の寺院で、その歴史は江戸時代初期に遡ります。1617年（元和3年）、本蓮社心誉利通によって開山されました。開基は徳川忠長と伝えられ、寺の院号「峯巌院」は、彼の戒名に由来するとされています。ただし、一説には1597年（慶長3年）の開山とも言われています。

寺は、1920年（大正9年）に道路拡張のため現在の場所に移転しました。その後、1945年（昭和20年）の東京大空襲で焼失しましたが、戦後に再建され、現在に至っています。

境内には、さまざまな供養塔が建立されており、その多様性が特徴です。キリシタン、明治以降の戦没者、さらには鶏肉のトリに至るまで、人間だけでなく動物や様々な存在への供養が行われています。また、杉並区成立以降の行旅死亡者の供養塔も建立されており、地域の歴史と人々の記憶が深く刻まれています。

墓所には、狂歌師として知られる邑扇堂常持や、明治期の豪商である山城屋和助など、歴史に名を残した人物が眠っています。これらの墓石は、訪れる人々に歴史の重みを感じさせます。

西方寺への交通アクセスは、東京メトロ丸ノ内線の新高円寺駅から徒歩7分と便利です。また、高円寺駅や中野駅からはバス（関東バス・京王バス）を利用し、「大法寺前」バス停で下車すると、すぐ近くにあります。これらのアクセス手段は、多くの人々が寺を訪れやすくしています。

西方寺は、その長い歴史の中で、移転や焼失、再建を経験しながらも、地域の人々にとって大切な存在であり続けています。様々な供養塔や著名人の墓所は、訪れる人々に深い感銘を与え、歴史と文化を感じさせてくれる場所です。

参考文献

* 大谷光男、嗣永芳照 著『杉並区史跡散歩 (東京史跡ガイド15)』学生社、1992年

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