西本和美

1958年8月19日、山口県防府市に生まれた西本和美は、右投両打の内野手としてプロ野球の世界に足を踏み入れた人物です。そのキャリアは、読売ジャイアンツ、そして日本ハムファイターズと、二つの球団で展開されました。

地元の防府高校を卒業後、筑波大学へと進学しました。大学時代、彼は首都大学野球リーグで才能を発揮します。所属するチームは1980年秋季リーグで一部リーグへの復帰を果たし、翌1981年春季リーグではリーグ3位という健闘を見せ、その中心選手の一人として貢献しました。当時のチームには、後にプロの世界に進む外野手の松本稔が一年下にいました。国立大学というアカデミックな環境からプロ野球選手を目指した彼の道のりは、当時としては珍しく、注目を集めることとなりました。

1981年のオフシーズン、彼はドラフト会議を経ずに読売ジャイアンツへの入団が決まります。これは読売ジャイアンツという球団において、初めての国立大学出身選手を受け入れるという歴史的な出来事でした。入団時、彼はその俊足と巧みな打撃技術を兼ね備えた内野手として、球団内外から大きな期待を寄せられました。プロとしての第一歩として、背番号「59」を託されます（1982年から1984年まで）。しかし、層の厚いチーム事情もあり、一軍での出場機会は限られ、主には二軍での実戦経験を積みました。それでも、1984年シーズンの終盤には、遊撃手として2試合に先発出場を果たすなど、プロの舞台でその姿を見せました。

転機が訪れたのは1985年3月のことでした。西本は、山本勝哉選手との交換トレードによって、日本ハムファイターズへと移籍することになります。新たな環境で、彼は背番号を「25」に変更しました（1985年から1986年まで）。日本ハムに移籍した初年度である1985年には、遊撃や二番打者として9試合に先発出場するなど、一定の起用機会を得ました。しかし、残念ながらその後は再びレギュラー定着には至らず、出場機会は減少していきました。そして、プロ入りからわずか数年、1986年シーズンの終了をもって、惜しまれつつも現役選手としてのキャリアに終止符を打ちました。

短いプロ野球人生ではありましたが、彼のプレーは公式記録に刻まれています。プロ初出場は1984年9月26日、後楽園球場での対広島東洋カープ戦でした。この試合の9回表に遊撃の守備位置に就いています。プロでの初打席と初安打を同時に記録したのは、その数日後の1984年9月29日、同じく後楽園球場で行われた対横浜大洋ホエールズ戦でのことでした。7回裏に金沢次男投手から中前へ放った打球がプロでの記念すべき初安打となりました。さらに、この試合の8回裏には、斉藤明夫投手から右前タイムリーを放ち、プロ初打点も記録しています。初めてスターティングメンバーとして名を連ねたのは、1984年9月30日の対横浜大洋ホエールズ戦で、この試合では「7番・遊撃手」として先発出場しています。

筑波大学という異色の経歴を持ち、読売ジャイアンツ初の国立大学出身選手として注目を集めた西本和美。プロ野球選手としてのキャリアは3シーズンという短い期間ではありましたが、その確かな守備と打撃でプロの舞台での一歩を記し、記録にもその名を留めています。

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