西村睦男

西村 睦男（にしむら むつお）の生涯

西村睦男は1915年1月31日、山口県厚狭郡楠町（現在の宇部市）に生まれました。彼は幼少期を台湾で過ごし、旧制台北一中や台北高等学校（旧制）を経て、1938年に京都帝国大学文学部地理学科を卒業します。卒業論文では「台北市の地理学的研究」というテーマを取り上げ、自身の育った植民地都市の空間構造についての考察を行いました。

教職歴

大学卒業後、西村は嵯峨野高等女学校を含むいくつかの高校で、約13年間地理教育に従事しました。1951年には京都大学教養部助教授に着任し、後に藤岡謙二郎とともに人文地理学教室に所属しました。1963年には教授に昇進し、1968年からは奈良女子大学文学部の教授として活躍しました。1978年には奈良大学教授に就任し、1982年から1984年にかけて同大学の学長を務めました。

学長在任中には、大学の将来を見越して新たに社会学部を設立し、専攻キャンパスの移転を実現しました。1988年、学長の任期が満了を迎えるとともに奈良大学を退職しました。学会においても、一般社団法人の人文地理学会の第8代会長を1972年から1974年まで務めたことがあります。

研究内容と業績

専門分野は人文地理学であり、西村は多くの著作や共著を残しています。いくつかの著書には『やさしく詳しい中学社会科世界地理』や『中心地と勢力圏』があり、共著作品も多数存在します。彼の研究は、地域の地理的特徴や人々の生活様式に深く根ざしており、特に「移動」や「空間」についての洞察を深めるものでした。また、地理学の基礎を中高生に伝える著作も残し、教育者としても重要な役割を果たしました。

趣味としてクラシック音楽を愛しており、奈良大学学長時代には多くの音楽コンサートも企画しています。さらに、敬虔なクリスチャンであり、教会ではオルガニストとして活動していました。

家族と親族

彼の子どもである西村雅樹はドイツ文学者として名を馳せています。西村睦男の研究活動や業績は、その後の地理学界においても高く評価され、彼の多岐にわたる貢献は今なお多くの人々に影響を与え続けています。

著作一覧

• - 『やさしく詳しい中学社会科世界地理』吉野書房 1958
• - 『中心地と勢力圏』大明堂 1977
• - 共著に『完成世界地理』、他多数

論文と参考文献

彼の論文はCiNiiで確認することができ、また、2006年には石原潤による追悼文が『人文地理』に掲載されました。

西村睦男は2006年3月9日に逝去しましたが、彼の業績は今なお地理学の発展に寄与し続けています。

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