西条陣屋

西条陣屋

西条陣屋は、現在の愛媛県西条市明屋敷に位置していた、西条藩の藩庁です。別名として西条城、西条館、桑村館、西条藩陣屋とも呼ばれていました。この地は現在、「西条藩陣屋跡」として愛媛県の史跡に指定されています。

歴史

西条陣屋と陣屋町の原型を築いたのは、江戸時代初期、寛永年間に西条藩主となった一柳直重です。彼は伊勢国神戸藩から移封された際、西条平野北部に陣屋の建設を開始しました。

陣屋は加茂川の扇状地に位置し、東西約400メートル、南北約250メートルの規模で、石垣と濠を巡らせた構造でした。濠には湧水が利用され、喜多川から水を引き込む工夫も凝らされていました。また、濠の余水を海に流すために本陣川を開削し、その河口を港として整備したことが、西条港の起源とされています。

陣屋の建設に伴い、周辺の村は二つの地区に分かれ、陣屋を取り囲むように武家屋敷が配置されました。陣屋の東側には町人屋敷が設けられ、陣屋町の育成が図られました。町人地は後にいくつかの町に分かれ、それぞれ独自の発展を遂げました。

一柳氏は直重の子の代に改易となり、西条領は一時的に幕府領となりました。その後、松平頼純が新たな藩主として入封し、再び西条藩が成立しました。松平家は定府大名であったため、藩主が領国に滞在することは少なかったようです。

明治4年（1871年）の廃藩置県により、西条陣屋は取り壊されましたが、現在でも一部の遺構が残されています。

遺構

陣屋跡は現在、愛媛県立西条高等学校の敷地として利用されており、周囲には当時の水堀が残っています。その他、以下の遺構が現存しています。

大手門：西条高等学校の正門としてそのままの位置に現存
北御門：西条高校正面横
腰巻土塁：大手門の両脇
水堀・石垣：西条高校敷地を囲む
御広敷門：大通寺山門
西条藩政庁玄関：妙昌寺庫裡の玄関

これらの遺構は、かつての西条陣屋の面影を今に伝える貴重な存在となっています。

まとめ

西条陣屋は、江戸時代の西条藩の歴史を物語る重要な史跡です。陣屋跡を訪れることで、当時の藩政や城下町の様子を偲ぶことができます。現存する遺構は、地域の歴史と文化を伝える貴重な財産として、大切に保存されています。

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