西武クハ1221形電車

西武クハ1221形電車の概要

西武クハ1221形電車は、かつて西武鉄道で運用されていた通勤形電車です。この車両は、日本国有鉄道から払い下げられたモハ1形及びサハ25形の木造車両を改造して制御車（クハ）として導入されました。特に日本の戦後の混乱期において、輸送力の強化が求められたため、老朽化した木造車の払い下げを受け、それを新たに改造して運用することとなりました。

経緯と背景

日本の鉄道路線は戦後、増大する通勤需要に対応するための輸送力強化が急務でした。この時期、西武鉄道は国鉄からの木造電車の大量払い下げによって、いち早く輸送力の確保を図りました。具体的には、1950年から1954年にかけて、多数の木造車が西武鉄道に導入され、それに伴いクハ1221形、クハ1271形、サハ2001形の3つの形式が確立されることとなりました。この木造車の多くは、鋼体化改造のための車両として利用されました。

車両仕様

払い下げられた車両は、基本的に全てがサハ25形の付随車であり、これに運転台を取り付ける改造が施されました。この改造では、車両の端部に全室型の運転台を新設し、客用扉の位置を変更、また新たに乗務員用の扉を追加するという工事が行われました。このため、全車両が片運転台構造の3扉仕様に仕上げられた点が特徴です。車体の色は、当時の西武標準色であるマルーンとイエローの2トーンに塗装されました。同じく、クハ1221形とクハ1271形は、装備している主幹制御器で分けられており、それぞれの電動車に対応した制御車として利用されていました。

鋼体化改造の必要性

導入当初、これらの木造車は必ずしも長期間の運用を念頭に置いた設計ではありませんでした。そのため、導入から間もなくして、順次鋼体化改造が行われることになります。1953年以降、これらの車両はモハ311形やクハ1311形などの車両に転用され、最終的にクハ1221形と1271形は1955年9月に形式消滅を迎えました。実際に、西武鉄道におけるこれら3形式の在籍期間は、平均して1から2年程度と非常に短いものでした。

車歴および注記

クハ1271形については、詳細な在籍期間や車両ナンバーについては多くの不明点が残っており、現在も完全な解明には至っていない所があります。一方で、鋼体化の際、一部の旧木造車体は再利用され、食堂や物置などに転用されることもありました。このように、クハ1221形は、西武鉄道の歴史において短いながらも重要な役割を果たした車両でした。

まとめ

西武クハ1221形電車は、戦後の混乱期を経て迅速に輸送力を強化するために導入された重要な車両です。古い木造車両が新たに改造され、短期間の利用ではありましたが、鉄道史においてその存在は特異なものであり、今日の鉄道ネットワークの発展に多大な影響を及ぼしました。

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