西武モニ1形電車

西武モニ1形電車について

西武モニ1形電車は、西武鉄道にかつて存在した荷物電車です。この車両群は、初期に国鉄から払い下げられた荷物電車を前身とする初代モニ1・2を除き、西武鉄道の旅客用車両を改造することで誕生しました。特に、1964年1月31日の車両記号の改正から、従来「モニ」と呼ばれていた荷物輸送用制御電動車は「クモニ」と改められ、以後はクモニ1形電車として広く知られるようになりました。この変更により、モニ1・2の初代を省いた各車両は「クモニ」表記で統一されることとなったのです。

電車の背景

西武鉄道では、電気機関車による貨物輸送に加え、小型荷物の取り扱いとして電車でも荷物輸送を行っていました。1950年代後半、同社は自社製車両の増備と並行して、国鉄の廃車となった電車の払い下げを受け、これにより輸送力の強化を図りました。特に1924年製の木造荷物電車クモニ3410形がこの時期に導入され、クモニ3411と3412の2両が特に注目される存在でした。

これらの車両は国鉄での最後の運用時には、入換作業に使われていた特殊な形態を有しており、特にクモニ3411は荷物用扉が撤去されるなど、独特な外観をしていました。1959年、これらの車両が上石神井検車区に搬入され、クモニ3412は改修を受け、1960年に西武鉄道初の荷物専用電車モニ1形初代として運用が始まりました。反面、劣化のため使用できなかったクモニ3411は、1962年に除籍されました。

車両の改造と運用

モニ1形初代は、木造車両特有の老朽化が進行したため、1963年には代替にモハ151形162（2代）を改造してクモニ1形2（2代）として導入しました。モハ162は西武鉄道の前身である武蔵野鉄道がかつて所有していた車両で、いくつかの改番を経てこの改造に至りました。このように、西武鉄道は過去の歴史をもとに新たな改造車両を展開し、荷物輸送の効率化を図っていたのです。

その後、1965年から1967年にかけて、さらなる荷物電車が改造増備されました。クモニ2からクモニ4の計3両は、すべて国鉄からの払い下げ車両をベースにし、独自の仕様に改造が施されました。これらの改造車両は、主に池袋線系統で小手荷物の運搬に使用されていましたが、1967年にクモニ3・4も加わり、全体で最大4両が在籍することになりました。

車両の特徴

モニ1形の車両は、基本的に両運転台仕様であり、大型荷物用扉が片側に3カ所備えられています。各車両の形状は異なりますが、荷物電車としての共通の外観をもっています。モニ1（初代）は木造二重屋根で国鉄在籍当時の姿を残し、クモニ1（2代）以降の車両はローズレッドとウォームグレーの塗装が施されていました。

特に、モニ1（2代）は幅が狭く、荷物用扉の下に張り出し形ステップが設けられていました。加えて、春田本社の長い歴史から、これらの電車は次第に老朽化が進み、1976年にクモニ1（2代）が廃車となると、残るクモニ2 - 4も1978年に小手荷物輸送の廃止に伴って姿を消しました。

最期を迎える

西武鉄道のモニ1形電車は、屋号と共にその役目を終えました。小手荷物輸送はトラック便の発展により次第に需要を失い、1978年にはクモニ2から4までのすべてが廃車となることで、荷物電車という形態が西武鉄道からも消え去ったのです。

このように、西武モニ1形電車は、荷物電車として活躍した貴重な歴史の一部を形成する存在であり、現在でもその記憶が鉄道ファンの間で語り継がれています。

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