西洋道中膝栗毛

『万国航海 西洋道中膝栗毛』

『万国航海 西洋道中膝栗毛』は、明治時代に活躍した作家・仮名垣魯文によるユーモア小説であり、1870年から1876年にかけて出版されました。この作品は全15編から成り、特に当時の人気作『東海道中膝栗毛』を元にし、旅の楽しさやトラブルをユーモラスに描写しています。

物語の背景

本作では、主人公である弥次郎兵衛と北八の二人が、突然ロンドンで開催される万国博覧会を見学するために旅立ちます。彼らは、横浜にて西洋の製品を扱う商売をしていましたが、実際には仕事は妻に任せ切りで、自らは遊んでばかり。そんな彼らが、商人の手代として旅に出ることになるという設定です。この小説は、福澤諭吉の『西洋旅案内』が流行していたことを背景に、それに対抗する形で生まれたものでもあります。

物語の展開

記事は、彼らがシャンハイに向かう船上から始まります。船旅は多くのトラブルで彩られ、北八は中国人との摩擦から泼水をかけられ、さらには失態に次ぐ失態を繰り返します。続くホンコン、シンガポールでは、様々な冒険が待ち受けており、特に泥棒や賠償請求、土人との相撲など、彼らの滑稽な行動が物語を盛り上げます。

滞在地での出来事

セイロン島では、現地の人々との交流を通じてさらなるトラブルに巻き込まれることになります。弥次郎兵衛と北八は、ここでもダンスパーティや宴会に参加し、楽しむ一方で、次々と面白おかしい事故に見舞われます。スエズ運河では、彼らは無事に地中海にたどり着くための準備を整え、イギリスへの最後の出発となります。

ロンドンでの体験

ロンドンに到着し見物の準備をしている際も、二人は様々なトラブルに遭遇します。祭りや博覧会の見学で新しい体験を味わいながらも、帰国の寸前での失敗が続くことになります。彼らが何とか無事に帰国できるかどうかは、ハラハラする展開を生み出します。

まとめ

『万国航海 西洋道中膝栗毛』は、異文化の中での人々の滑稽さや困難な状況をユーモア豊かに描写しており、当時の読者にとって非常に楽しめる作品でした。仮名垣魯文自身は当時の西洋を直接見たわけではないものの、文献からの情報をもとにリアリティのある物語を作り上げています。多くの挿絵や他の著者による作業を受け入れつつ、この作品が日本の文学の中で重要な位置を占める理由は、彼らの旅の中での人間ドラマにあります。

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