西田厚聰

西田 厚聰（1943年 - 2017年）

西田厚聰（にしだ あつとし）は、1943年12月29日に生まれ、2017年12月8日に亡くなった日本の実業家であり、株式会社東芝の取締役代表執行役社長や取締役会長を歴任しました。彼の学位は法学修士であり、東京大学で学びました。報道では「聰」の旧字体が使われることがあり、「西田厚聡」という表記も見受けられます。

経歴の始まりと東芝での活躍

三重県出身の西田は、三重県立尾鷲高等学校を卒業後、早稲田大学政治経済学部を経て東京大学大学院法学政治学研究科で研究を行いました。1970年に修士課程を修了し、その後、イラン出身の女性との出会いを経て東京芝浦電気（現・東芝）に入社しました。彼は31歳の時に、イラン現地法人で採用され、以降は東芝本社でのキャリアをスタートさせました。

西田は特に海外のパソコン市場に精力的に取り組み、1986年には東芝をノートPC市場で世界一のシェアに導く結果を出しました。彼は東芝アメリカ情報システム社の社長として、アメリカでのPC事業の再建に成功し、1994年には再び世界一のシェアを獲得しました。このようにして、彼は短期間のうちに業績を回復させ、強力なブランドを築きました。

社長としての功績と問題

2005年には東芝の社長に就任し、様々な業績改善を目指しましたが、これが後の問題を引き起こすこととなります。彼は社内で「ストレッチ」を強調し、特にPC事業に圧力をかけることになりました。この結果、利益が50億円水増しされるなど、不正な会計処理が常態化しました。西田が推進した経営資源の「選択と集中」により、大手原発メーカーのウェスティングハウスを6400億円で買収する決断を下しましたが、福島第一原子力発電所の事故により、その目論見は崩れ去りました。

対立と最期の日

2009年には会長職に移行したものの、後任の社長である佐々木則夫との対立が続き、社内の派閥争いが表面化しました。この対立は経営方針の違いから来ており、特に原子力分野についての意見が対立を引き起こしました。2014年には利益水増し問題が深刻化し、最終的には引責辞任に至ります。彼の育てたPC事業も売却されるなど、東芝は解体の危機に直面しました。

西田は2017年12月8日に急性心筋梗塞のため亡くなりました。彼の死去は東芝の崩壊における「戦犯」の一人として位置づけられ、73年間の生涯を閉じる結果となりました。彼の経営手腕やパソコン事業への貢献は評価される一方で、同時に彼が引き起こした問題やその影響は会社に大きな傷を残しました。彼の取り組みは、成功の美名とともに、失敗の教訓としても記憶に残ることでしょう。

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