西田善夫

西田善夫：スポーツ界の巨星

西田善夫（にしだ よしお、1936年2月8日 - 2016年2月27日）は、日本のスポーツ評論家として名を馳せたアナウンサーである。彼のキャリアは、1958年に早稲田大学法学部を卒業し、NHKに入局したことから始まる。初任地は室蘭放送局で、当時の若手アナウンサーとして多くの挑戦を乗り越えながら成長していった。

特筆すべきは、1964年の東京オリンピックにおいて、彼が最若手実況アナウンサーとしてバレーボールの実況を担当したことである。この経験が、西田のキャリアを大きく飛躍させるきっかけとなった。以降、彼はプロ・アマの野球やさまざまなスポーツの実況を行い、多くのファンの心を掴んだ。

1978年にスタートした『スポーツアワー』ではキャスターとしての顔も持ち、その後『サタデースポーツ』や『サンデースポーツ』でも活躍を続けた。1991年にはスポーツアナウンサーとして初めてNHKの解説委員に就任し、1996年には定年退職した後も、鹿屋体育大学、立教大学、聖学院大学で教授として後進の指導にあたった。

さらに、1998年には新設された横浜国際総合競技場の初代場長に就任し、2002年にはその職を退いてからも、精力的にスポーツ評論家として活動した。また、東京都北区教育委員会委員や聖学院評議員など、多方面での活動も行っていた。このように、幅広い分野での貢献は、彼のスポーツ界での影響力を示すものである。

西田にはユニークなエピソードも多く、初任地を室蘭に希望した際には、上司からその理由を不思議がられたことがある。また、1976年のモントリオールオリンピックでは、日本女子バレーボールチームが優勝した際に「笑顔の優勝、泣かない優勝」と実況して、その名言が多くの人に記憶されている。さらに、アイスホッケーの実況でも知られ、1980年にはレークプラシッドの米ソ戦を実況し、その試合は後に「ミラクル・オン・アイス」として語り継がれることとなった。

また、広島局に勤務していた昭和40年代には、広島カープのファンであったことが知られており、同チームに関するイベントにも招かれることが多かった。メジャーリーグの中継にも先駆者として知られており、1977年のワールドシリーズではニューヨーク・ヤンキース対ロサンゼルス・ドジャースの実況を担当した。

1989年の第61回選抜高等学校野球大会決勝では、予想外の結末に冷静な実況を行い、多くの視聴者の心に残った。

彼の著作には『オリンピックと放送』（1991）、『話し上手は聞き上手!』（1999）、『スポーツと言葉』（2003）などがあり、スポーツに対する彼の深い理解と洞察が伺える。

2016年2月27日、心不全により80歳でこの世を去った西田善夫。彼のバラエティに富んだ業績と熱意は、今も多くの人々に影響を与え続けている。

もう一度検索