西目町

西目町

秋田県南部、日本海の波打ち際に広がっていたかつての町、西目町（にしめまち）は、独立した自治体として独自の歴史を歩んでいました。2005年3月22日、由利郡に属していたこの町は、由利本荘市を中心とした広域合併に参加。旧本荘市に加え、岩城町、大内町、由利町、東由利町、矢島町、鳥海町の六つの町と共に合併し、新たな自治体である由利本荘市が誕生しました。合併後も、地域名としては「由利本荘市西目町」としてその名が残されています。

地理

西目町は、南部に孫七山を擁し、町の中央部を西目川が流れ日本海へと注いでいます。主要な町内には、海沿いの出戸や浜山、内陸の沼田、田高、潟保、井岡、中沢、そして潟端などがあり、多様な景観を見せていました。かつては本荘市、由利町、そして現在のにかほ市の一部である仁賀保町と境を接していました。

歴史

地域の近代史は、明治時代に始まります。1889年（明治22年）4月1日、西目村、出戸村、沼田村、海士剥村の四つの村が合併して、新たに西目村が誕生しました。その後、大正時代には隣接する子吉村との間で境界変更が行われています。長い村の時代を経て、地域が町へと発展を遂げたのは昭和後期のことです。1975年（昭和50年）9月1日に町制が施行され、西目村から西目町となりました。そして、平成の大合併の流れの中で、2005年（平成17年）3月22日に由利本荘市の一部となり、その自治体としての歴史に幕を下ろしました。

産業

日本海に面している西目町では、漁業が古くから営まれており、西目漁港はその拠点の一つです。また、町内の広範囲に水田が広がる内陸部では農業が盛んで、特に稲作が中心的な役割を担っています。米の生産に加え、西目地域の特産品として知られるのがリンゴです。新鮮なリンゴはそのまま食されるほか、加工品であるリンゴジュースも名産品として親しまれています。地域経済を支える企業としては、由利工業株式会社、秋田精工株式会社、株式会社秋田ニューバイオファームなどが本社を置いていました。

教育

西目町には、地域の子どもたちの学びの場として、秋田県立西目高等学校（かつての秋田県立西目農業高等学校）、西目町立西目中学校、そして西目町立西目小学校が設置されていました。特に西目中学校はサッカーの強豪校として知られ、東北中学校サッカー大会で複数回の優勝経験を持つ輝かしい歴史があります。これらの学校は、合併後、由利本荘市立の学校として地域教育を担い続けています。

地元出身者の中には、全国的に知られる人物もいます。サッカー元日本代表として活躍した小松晃氏、アテネオリンピックにボクシングのライトフライ級日本代表として出場した五十嵐俊幸氏、そして元力士の魁龍靖氏などが西目町ゆかりの人物として挙げられます。

交通

地域には東日本旅客鉄道（JR東日本）の羽越本線が通り、西目駅が玄関口となっていました。道路網としては、主要な幹線道路である国道7号が町を縦断しています。また、秋田県道43号本荘西目線、秋田県道285号冬師西目線、秋田県道296号院内孫七山線といった主要地方道および一般県道が地域を結び、交通の利便性を支えていました。

名所・施設・観光

西目町には、訪れる人々を惹きつける多様な名所や施設があります。景勝地としては、日本海を望む望海の丘や、日本の白砂青松百選にも選ばれている美しい西目海岸があります。夏には西目海水浴場が賑わいを見せます。歴史的な場所としては、浜館跡（浜館公園）、孔雀館跡、大黒館跡、田高館跡、豊後館跡などがあり、かつての地域の歴史を偲ばせます。また、現代的な景観の一部となっている西目ウインドファームの風力発電機群も特徴的です。

レジャー施設としては、柴田牧場や、道の駅にしめ、ハーブワールドAKITAなどがあり、地域の特産品を楽しんだり、自然の中でリフレッシュしたりすることができます。疲れた体を癒す場所としては、かしわ温泉も利用されていました。

町内にはスポーツ活動を支援する施設も充実しており、B&G西目海洋センターにはプールや体育館が整備されています。その他にも弓道場「無想館」、ゲートボール場、サッカー場、テニスコート、グラウンドゴルフ場としても利用される多目的広場など、様々なスポーツに対応した施設がありました。文化活動の拠点である西目公民館「シーガル」や、介護老人保健施設グランドファミリ-西目、秋田県心身障害者コロニーといった福祉施設も、地域の生活を支える重要な役割を担っていました。

2005年の合併により自治体としての西目町はなくなりましたが、その豊かな自然環境、歴史、産業、そしてそこに暮らす人々の営みは、由利本荘市西目町として今も受け継がれています。

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