西軽井沢ケーブルテレビ

世界一小さなテレビ局：西軽井沢ケーブルテレビの物語

長野県北佐久郡御代田町に拠点を置く株式会社西軽井沢ケーブルテレビは、その名の通り、同町を放送エリアとするケーブルテレビ局です。従業員は社長の石川伸一氏を含めてわずか2名。愛称は「テレビ西軽」。その規模から「世界一小さなテレビ局」として知られています。スタジオは、しなの鉄道御代田駅構内という、これまたユニークな場所に位置しています。

喫茶店から生まれた地域密着型テレビ局

1984年、石川伸一氏は喫茶店と英語塾を経営する傍ら、喫茶店の一角にテレビ局を開設しました。この意外な転身は、町議会での出来事がきっかけでした。4年前、ふらりと立ち寄った町議会で、居眠りする議員の姿を見て、町の現状を住民に伝える必要があると強く感じたのです。

当初は「また変なことを始めた」と周囲から見られていた石川氏でしたが、地道な努力が実を結びます。小さな町内イベントも丁寧に取材し、八百屋の店頭に置かれたテレビで放送するなど、工夫を凝らした活動を行いました。親しみやすいキャラクターと、町の人々を頻繁に取り上げた番組作りが功を奏し、契約世帯数は開局時の10世帯から、2022年時点では約2500世帯へと大きく増加しました。

独自の番組編成と地域との繋がり

テレビ西軽の番組編成は、他のケーブルテレビ局とは大きく異なります。放送スケジュールは基本的に設定されておらず、町内イベントの取材映像や、過去に放送されたテレビ番組の録画が不定期に放送されます。後者には、アニメやバラエティ番組など、幅広いジャンルの番組が含まれます。

毎日19時には生放送番組が放送されます。番組開始時には「隣組」という楽曲がオープニングテーマとして流れ、その時点で放送中の録画番組は中断され、生放送へと強制的に切り替わります。放送時間は不定期です。

CMも独自制作。町内で人気の店などを紹介するシンプルなCMは、ビデオカメラ1台で撮影された映像に、後からテロップを付けるという手法で作られています。このCMは、視聴者にとって地元のお店を知る機会を提供する役割も担っています。

地域に根付いた小さなテレビ局の未来

西軽井沢ケーブルテレビは、世界一小さなテレビ局として知られていますが、その規模からは想像もつかないほど、地域社会との結びつきが強く、住民生活に密着した放送を続けています。従業員2名という少人数体制ながら、地域住民との緊密なコミュニケーションを基盤に、地元の情報を的確に伝え、住民の生活を豊かにする役割を担っています。

小さな規模ながらも、地域に密着した独自の番組作りと、住民との強い繋がりによって成功を収めた西軽井沢ケーブルテレビ。その挑戦は、地方の小さなテレビ局のあり方を示唆し、メディアの在り方について多くの示唆を与えてくれる好例と言えるでしょう。

情報源

西軽井沢ケーブルテレビ公式ウェブサイト
西軽井沢ケーブルテレビFacebookページ
西軽井沢ケーブルテレビX（旧Twitter）アカウント
読売新聞デジタルストーリー記事
* サントリー地域文化賞受賞情報

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