西部州 (パプアニューギニア)

西部州（パプアニューギニア）

パプアニューギニアの広大な国土において、その西南部、具体的にはニューギニア島の中南部に広がるのが西部州（West Province）です。この州は、パプアニューギニアを構成する諸州の中でも際立った特徴を持っています。

地理と規模

西部州の面積は99,300平方キロメートルに及び、これはパプアニューギニア国内の全州の中で最も広大です。この広大な土地は、多様な自然環境を育んでいますが、同時に人口密度は比較的低く抑えられています。2011年の国勢調査によれば、この州の人口は約20万1千人でした。広大な面積に対して人口が分散していることは、交通やインフラ整備といった面で地域的な課題を伴う可能性も示唆しています。

州内を流れる主要な河川は、パプアニューギニアでも有数の長さを誇るフライ川とその広範な支流網です。これらの河川は、州内の水系を形成し、古くから地域の自然や人々の生活に深く関わってきました。また、州内には国内最大の湖であるマレー湖が存在します。この巨大な湖は、豊かな生態系を育むとともに、地域の地理的なランドマークとなっています。フライ川とマレー湖を中心とする水系は、州の地形や景観を特徴づける重要な要素であり、地域住民にとって生活基盤としても機能しています。

行政と州都

西部州の行政の中心であり、同時に最大の都市でもあるのがダルです。ダルは、ニューギニア島の南岸沖に浮かぶダル島に位置しています。島嶼部に州都が置かれているのは、州全体の地理的な広がりや河川交通の利便性などを考慮した結果と考えられます。2011年の調査におけるダル市の人口は約1万5千人であり、州全体の人口と比較すると、都市部に人口が集中しているというよりは、広大な州内に人口が分散している状況がうかがえます。

州名の変遷の試み

州政府は、州名の変更を検討しているとの情報があります。現在の「西部州」という名称は地理的な方角を示していますが、州の最も特徴的な地理要素であるフライ川にちなみ、「フライ川州」という名称に変更しようとする動きがあるようです。これは、州のアイデンティティをより具体的に、そして州の自然環境における最も重要な要素に結びつけようという意図の表れと考えられます。しかしながら、現時点ではこの名称変更は公式には認められておらず、「西部州」が引き続き正式な名称として用いられています。この動きは、地域の特色を州名に反映させたいという住民や政府の願いを示唆していると言えるでしょう。

まとめ

西部州は、パプアニューギニアの地理的な規模を示す上で非常に重要な州です。国内最大の面積、そしてフライ川水系とマレー湖という特徴的な自然環境を有しています。行政の中心はダル島にある州都ダルであり、広大な土地に人口が分散して暮らしています。州名の変更に関する議論も、この州が持つ独自の特色をどのように表現していくかという点で注目されます。地理的な広大さゆえの多様性と課題を併せ持つ地域と言えるでしょう。

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