西部防衛司令部

西部防衛司令部の概要

西部防衛司令部は、1937年から1940年にかけて日本陸軍が設置した組織であり、九州地方と中国地方西部の防空を担っていました。この司令部は日本国内に三つ設置された防衛司令部の一つで、位置は福岡県小倉市（現在の北九州市）にありました。1940年には西部軍司令部へと改編され、名称は変わるものの、役割は引き続き地域の防空を維持するものでした。

設置と権限

この司令部は、日本で初めて防空に特化した指揮機関として、1935年に制定された防衛司令部令に基づいて設置されました。当初、東京に東部防衛司令部、大阪に中部防衛司令部、小倉に西部防衛司令部を設ける計画が発表され、しかし実際に発足したのは東部防衛司令部だけでした。その後、西部防衛司令部は1937年の8月1日に発足しました。編成を担当したのは第12師団司令部で、物理的な場所は野戦重砲兵第2旅団司令部や小倉連隊区司令部の一部で構成されました。

発足直後は防空計画を立案する権限にとどまっていましたが、1937年11月には防空に関する指揮権が正式に与えられました。この権力は九州全域及び中国地方の西部3県（山口、広島、島根）における防空管区に適用されました。また、当時の朝鮮と日本の間にある朝鮮海峡の海域も含まれていました。加えて、警備権限に関しては九州北部の第12師管に限定され、同管にかわって西部防衛司令部が権限を有することとなりました。

司令官と参謀長はそれぞれ専任であり、司令部の一部の人員は第12師団司令部との兼任を行う形になっていました。

防空訓練と知識の普及

当時の防空活動は、戦闘機や高射砲を用いたアクティブな防空と、灯火管制や消火によるパッシブな防空に大別されました。西部防衛司令部は、さまざまな防空訓練を統括し、特に「西部防空管区国民防空訓練」と呼ばれる大規模な訓練を実施しました。また、国民に対する国防思想や防空知識の普及・宣伝活動にも力を入れ、1938年には『家庭防空』という防空に関する冊子を発行しました。

日中戦争と防空

日中戦争が始まった1937年は、西部防空管区が朝鮮、台湾とともに防空態勢を維持するためにしばしば活動を行った年でもありました。

歴代司令官と参謀長

西部防衛司令部の歴代司令官は、児玉友雄、松井命、最後に上村清太郎が就任し、期間に応じて司令官と参謀長が交代しました。特に松井と上村はそれぞれ重要な時期に組織を指導し、司令部の戦略に影響を与えました。

まとめ

西部防衛司令部は、日本陸軍における防空という新たな役割を担い、地域の安全と国防の観点から重要な活動を行いました。最終的には西部軍司令部への移行を経て、その機能は継続されることになりますが、短い期間であるにもかかわらず、その役割と影響は今でも語り継がれています。

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