西郷近思

西郷近思の生涯

西郷近思（さいごう ちかもと）は、江戸時代の会津藩家老であり、文化2年（1805年）に生まれました。彼は会津藩の大老、西郷近光の子として産まれ、家族の伝統の中で育ちました。母は小森氏で、彼自身は多くの子女をもうけましたが、特に西郷近悳と山田直節、また西郷説近という子どもたちが存在しました。一般には頼母と呼ばれています。

近思は、文政2年（1819年）に15歳で家督を相続した際の状況が特に注目されます。彼の父である近光が大老職にあった時に亡くなり、急遽その後を受け継ぐことになりました。同年には、藩主である松平容敬の随行者として江戸城での将軍徳川家斉との拝謁にも参加しました。このように若い年齢でありながら、政治の舞台に立つ経験を積むことができました。

その後、文政7年（1824年）には若年寄に任命され、文政10年（1827年）9月を迎える頃には家老職に昇進します。彼はこの職務を通じて、藩政の中で重要な役割を果たしました。また、天保9年（1838年）には藩主松平容敬からの功労を認められ、刀を賜る栄誉に浴しています。このような賞は、彼の功績が藩にとっていかに重要であったかを示しています。

文政と天保の間、近思は順調に地位を上げていき、天保11年（1840年）には知行が200石加増されました。しかし、彼は安政4年（1857年）、自身の家督を嫡男の近悳に譲ることを決意し、家老職を辞任しました。この時、もう一度200石が加増され、知行は合計1700石となりました。いくつもの実績を持ちながらも、次世代に譲ることを選んだことは、彼の大局的な視点の現れとも言えます。

最終的には、安政7年（1860年）3月10日に56歳という若さで亡くなりました。彼の死は、会津藩にとって大きな損失であり、その影響は少なからず藩の運営にも響いたことでしょう。彼の家系はその後も続き、西郷近房が会津藩西郷氏の家祖として残りました。

近思の生涯は、困難な時代の中での彼の努力と出世を象徴しており、歴史の舞台での重要な人物であったことを示しています。その功績は、会津藩の歴史においても特筆すべきものであると言えます。

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