要塞シリーズ

要塞シリーズ

『要塞シリーズ』は、荒巻義雄による人気の小説群であり、近未来を舞台にした戦争を主題とした作品です。このシリーズは、中央公論社から新書版として全20巻が発表され、その後中公文庫版として全17巻が刊行されています。1986年の初刊時には、当時の緊迫した国際情勢が反映されており、特にソ連による日本への侵攻の懸念が高まっていました。この時期は、戦争や軍事に関する関心が非常に高まっていたため、荒巻の作品は架空戦記小説のブームを引き起こす先駆けとなりました。

ストーリー概要

物語の舞台は、地球に似た人工天体「グロブロー」です。この世界では、キャラクターたちは「コード」と呼ばれる状況のもと、戦闘の休眠期を経た後に再び戦いの舞台に立ちます。彼らは戦争に関する知識しか持たず、その目的や背景については知らされておらず、時折、風景だけが存在するのにも関わらず疑問を抱くことはありません。この設定が、作品のユニークな魅力となっています。

『ニセコ要塞1986』は、分断された北海道を舞台に、スミノフ軍とIBM軍および日本列島防衛軍との戦いが繰り広げられます。また『十和田要塞1991』では東北地域を中心に戦争が描かれ、『阿蘇要塞1995』では九州を舞台にした日本列島防衛軍とスミノフ軍との闘争が展開されます。特に『琵琶湖要塞1997』では、IBM軍との戦闘に加え、外交的要素が本格的に導入され、シリーズ全体の多様性を広げています。【目次に続く】

登場国家

日本

日本はこの架空の世界における主要な国家であり、IBMの傘下に位置しています。スミノフ軍により北日本が占領され、劣悪な資源状況の中で日本列島防衛軍は高い士気と技術を誇る一方で、数量的な劣位に苦しむ時代が続きます。

スミノフ帝国

共産主義体制を敷くスミノフ帝国は、その著しい領土の広がりから世界の二大国の一つと見なされています。しかし、腐敗や経済の停滞が重なり、後に別の体制へと移行することになります。

IBM帝国

資本主義国家であるIBM帝国は、最先端技術を駆使した力強い国力を保ちますが、物語が進むにつれ内部的な不安から苦しむ姿も描かれています。

書誌情報

各巻には、その展開を具体的に示すサブタイトルが付されており、『ニセコ要塞1986』や『十和田要塞1991』など、さまざまなエピソードが展開されます。例えば、『ニセコ要塞1986』第1巻は「利尻・礼文特攻篇」として始まり、次第に物語が進展していきます。各巻は新書版と文庫版の両方で販売されており、広く親しまれています。

結論

要塞シリーズは、架空戦記小説の枠を超え、戦争の本質や国家間の力関係を鋭く描く作品です。特に読者参加型の要素が追加されたことにより、物語は単なるフィクションに留まらず、現実世界の歴史や政治にも目を向けさせる深みを持っています。

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