中公文庫

中公文庫について

中公文庫（ちゅうこうぶんこ）は、1973年に株式会社中央公論新社によって創刊された文庫レーベルです。このレーベルは、当時の文庫ブームを牽引し、今でも多彩なジャンルの書籍を発行し続けています。その特徴は、文学からノンフィクションまで、読み応えのある著作を揃えている点にあります。

創刊の背景と展開

中公文庫は、第3次文庫ブームに合わせてスタートしました。創刊当初から、講談社文庫や文春文庫とともに、文庫リリースの先駆者としての地位を確立しました。特に1980年代後半に字体を大きくしたことで、広く読まれるようになりました。また、カバーを外した表紙には、著名な建築家・白井晟一がデザインした鳩のイラストに「CHUOKORON」の文字が添えられています。

1990年代以降は、古典作品や歴史書の改訂再版が充実し、特に三田村鳶魚による『日本の歴史』や『世界の歴史』などの考証物が注目を集めました。江戸時代後期から明治維新期の大衆文芸や庶民生活についての研究も行い、さまざまな視点から日本の文化を探求しています。

豊富なコレクション

創刊以来、多くの作品を再刊し続け、特に大正・昭和期のノンフィクションに力を入れています。石光真清や大庭柯公によるロシアについての記録、戦前・戦中の東南アジア探訪記など、興味深い内容が豊富です。政治家や外交官の回想録も多く、例えば東郷茂徳や重光葵といった著名人の回顧録が改訂再刊されています。

新書版からの再刊も特徴的で、宮崎市定の『科挙』や野口悠紀雄の『「超」整理法』など、名著が再び読者の手に渡る機会を提供しています。1993年以降、ほとんどの書籍が品切れせず、解説目録が充実していたことからも、過去の名作を大切にする姿勢が見受けられます。2006年には創立30周年を記念して『中公文庫解説総目録』が発行され、これまでの全刊行書を網羅しました。また、一部限定復刊や新装改版も行っています。

中公文庫BIBLIOと他のレーベル

2001年には、姉妹レーベルとして中公文庫BIBLIOが創刊され、約190冊が刊行されました。こちらは古今東西の著名作品をジャンル別に収録し、特に書籍の装丁の美しさが際立っています。各ジャンルは多岐にわたり、20世紀の自伝から軍事関連の文献、仏教やグルメに関する書籍まで多彩に取り揃えられています。また、コミック版では、著名なマンガ家の名作が再刊されており、これまでに約500冊が販売されました。

まとめ

中公文庫は、歴史的名作を再発掘し、新たな読者に提供する出版社としての役割を果たしています。その充実したラインナップと過去の作品を大切にする姿勢は、多くの読者に支持され、時代を超えた文学と知識を広める重要な存在となっています。

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