覆道

覆道：道路を守る生命線

覆道は、雪崩、落石、土砂崩れなどの自然災害から道路や鉄道を守るための重要な防護施設です。トンネルに似た形状をしており、一般的に「洞門」や「半トンネル」と呼ばれています。用途によってスノーシェッド（雪崩対策）、ロックシェッド（落石対策）、アースシェッド（土砂崩れ対策）など、様々な名称で呼ばれることもあります。

覆道の役割と設置の必要性

道路が山間部などの急斜面を走る場合、落石や雪崩の危険性が高まります。覆道は、これらの危険から道路を守るための効果的な対策です。特に、落石防護柵などの対策では不十分な場合、あるいは落石の規模が非常に大きい場合などに、覆道の設置が検討されます。

覆道の設置は、単に道路を守るだけでなく、交通の安全確保、経済活動の維持、地域社会の安全・安心に貢献する重要な役割を担っています。

覆道の構造

覆道の構造は、大きく分けて上部構造と下部構造から構成されます。上部構造は、主構、主梁、頂版、側壁、柱などからなり、落石や雪崩の衝撃を吸収し、道路を守る役割を担います。下部構造は、山側受台、谷側受台、底版、基礎などから構成され、上部構造を支える役割を担います。

落石対策用の覆道では、落石の衝撃を和らげるために、頂版を斜めに設計したり、砂などの緩衝材を設置したりする工夫がなされます。また、雪崩対策用の覆道（スノーシェッド）では、雪崩が覆道内に侵入しないよう、屋根の勾配や軒先の設計が重要になります。

設計にあたっては、自重、土圧、落石、地震、雪崩、自動車衝突などの荷重を考慮する必要があります。さらに、現場の状況によっては、水圧、堆積土、積[[雪]]なども考慮する必要があるでしょう。水圧対策として排水管を設置したり、防水処理を施したりするなどの対策が施されます。基礎は、地盤の状況に応じて直接基礎または杭基礎が採用されます。

覆道の形状

覆道の形状は、箱形式、門形式、逆L式、単純梁式など、様々な種類があります。また、支柱の本数によっても、1支柱型と2支柱型に分類されます。さらに、設置場所や周辺環境に応じて、片持ち梁形式なども用いられます。

山側受台と谷側受台の設計は、地盤の状況や覆道の形状に合わせて最適な設計がなされます。山側受台は、重力式、重力もたれ式、逆T式、L形式などがあり、谷側受台は、重力式、逆T式、単独式、ラーメン式などがあります。

覆道の寸法は、道路や鉄道の建築限界を基準に決定されます。

覆道の材料

覆道の材料としては、鋼、鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリートなどが用いられます。それぞれの材料には、メリット・デメリットがあり、施工性、経済性、耐久性などを考慮して最適な材料が選択されます。

鋼製は、工場で製作してから現地で組み立てるため、複雑な構造に対応できますが、腐食の懸念があります。鉄筋コンクリート製は、現場で施工するため、地形に馴染みやすい反面、施工期間が長くなる傾向があります。プレストレストコンクリート製は、工場で製作した部材を現場で組み立てるため、品質が安定し、耐久性が高いことが特徴です。

まとめ

覆道は、道路や鉄道の安全を守る上で非常に重要な役割を果たす防災施設です。その構造、形状、材料は、設置場所の地形や地質、想定される災害の種類など、様々な要因を考慮して設計・施工されます。今後とも、より安全で効果的な覆道の設計・施工技術の開発が求められています。

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