見島のカセドリ

見島のカセドリについて

見島のカセドリ（みしまのカセドリ）は、佐賀市蓮池町の見島地区で小正月に実施される重要な来訪神行事です。この行事は350年以上にわたり受け継がれており、2002年には重要無形民俗文化財として指定されました。さらに、2016年には国連教育科学文化機関（UNESCO）の無形文化遺産への登録が提案され, 2018年には正式に登録されました。

カセドリの概要

カセドリは、「加勢鳥」とも呼ばれ、神から遣わされた雌雄のつがいのニワトリとして考えられています。この行事は毎年2月の第二土曜日の夜に行われ、土地の独身男性二人が藁の蓑を着用し、特定の道具を身につけてカセドリに扮します。彼らはまず熊野神社の拝殿に走りこみ、長さ約1.7メートルの先が細かく割られた竹を床に力強く打ちつけるところから始まります。

その後、カセドリの一行は地区内の家々を訪問し、家内安全や五穀豊穣を願って竹の先で床を打ちつけ、悪霊を追い払う儀式を行います。この儀式の後、家の人々は酒や茶をふるまい、カセドリたちは顔を伏せながら感謝の意を表します。カセドリの顔を見ることで幸せが訪れると信じられてもおり、家の人々はカセドリに顔を上げさせようとして深く底のある器を使用します。

文化的意義

日本各地でこのような来訪神に扮した者が家を訪れる行事が存在しますが、見島のカセドリは北部九州に特有のもので、地域的な特色を強く持っています。特にカセドリが竹で悪霊を祓う所作は他の地域ではほとんど見られないため、地域の人々にとって非常に親しみ深い存在です。この行事は日本の民間信仰の理解において重要な役割を果たしており、地域文化の独自性を際立たせています。

このように見島のカセドリは、文化財としてだけでなく、地域の人々にとっての信仰や絆を深める重要な行事として親しまれ続けています。参加者はもちろんのこと、見物客もその伝統的な雰囲気を楽しみながら、地域の歴史や文化に触れています。関心が高まる中、次世代にこの貴重な文化を引き継いでいくことが期待されています。

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