見習士官

見習士官（みならいしかん）

見習士官とは、大日本帝国陸軍における官名の一つであり、将校としての必要な教育を修了した者が少尉になる前の段階で任命される役職です。具体的には、太平洋戦争（大東亜戦争）中の日本陸軍において、以下のような経歴を持つ者が見習士官として任命されていました。

任命条件

• - 陸軍士官学校、陸軍航空士官学校、陸軍経理学校を卒業した士官候補生。
• - 陸軍予備士官学校を卒業した甲種幹部候補生、またはその同等の教育を有する者。
• - 衛生部、技術部、法務部などに採用された高等教育機関の卒業者。
• - 陸軍特別操縦見習士官。

士官候補生の場合、陸軍予科士官学校で学び、指定された部隊で士官候補生として勤務した後、陸軍士官学校に進学して卒業する流れがあります。その後、見習士官として原隊に戻り一定期間勤務することで、原隊将校団からの推薦を受けて少尉に昇進する慣例がありました。

任務と待遇

見習士官の在任期間は通常数ヶ月であり、戦況によってはそれが短縮されることもありました。階級上は曹長と位置付けられるものの、実質的には見習士官としての独立した地位を持っていました。業務上の待遇や職域、職責は少尉とほぼ同等であり、配属された部隊では将校の見習いとして週番士官や兵士教育の教官を務めることが求められていました。

また、演習や戦闘の際には小部隊を指揮する役割も担うため、見習士官は高い責任を持つ立場にあったのです。

服装と識別

服装に関しては、見習士官は下士官と同樣の官給品の軍服を着用していましたが、特別徽章として襟に星章を付け、肘には士官勤務者章を付けることで、見習士官であることが識別できるようになっていました（昭和18年以降）。また、将校軍刀を下げ、尉官用の正刀帯を着用することで将校としての立場を強調していたのです。

見習士官は、陸軍の中で将来の幹部となるための重要なポジションであり、その過程を経た者は、戦時の厳しい環境の中で研鑽を積みました。

まとめ

このように、見習士官は大日本帝国陸軍における重要な役割を果たしており、士官としての教育と実務経験を兼ね備えた人物として将来のリーダーシップを培う立場にありました。知識と技術を磨く一方で、将校になるための厳しい試練を乗り越える必要があったのです。

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