見野古墳群

見野古墳群：姫路の古代ロマンを秘めた群集墳

兵庫県姫路市四郷町見野に位置する見野古墳群は、大小様々な古墳が点在する群集墳です。麻生山東麓、市川東岸の八家川流域という立地条件に恵まれ、現在までに13基の古墳が確認されています。その歴史的価値から、4基が兵庫県指定史跡、6基が姫路市指定史跡に指定されています。

特徴的な古墳群

見野古墳群の最大の特徴は、多くの古墳が比較的大きな横穴式石室を持つ点です。横穴式石室とは、地下に掘られた墓室に石を積み上げて造られたもので、古代人の高度な技術力を物語っています。中でも6号墳は、一つの墳丘の中に2基の横穴式石室を持つ珍しい双室墳であり、特別な人物が葬られていた可能性が示唆されています。

さらに特筆すべきは10号墳です。墳丘の封土が失われたことにより、石室が地表に露出しています。この様子は、奈良県明日香村にある有名な石舞台古墳を彷彿とさせ、「姫路の石舞台」という通称で親しまれています。石室の構造や規模から、この古墳の被葬者も重要な人物であったと考えられています。

歴史と周辺環境

見野古墳群は、古墳時代後期から終末期、すなわち6世紀後半から7世紀前半にかけて造営されたと推定されています。これらの古墳は、石室の形態変化をたどる上で貴重な資料となるだけでなく、南東約650メートルに位置する白鳳時代の寺院跡である見野廃寺との関連性が指摘されています。見野廃寺は、この地域を支配した有力な豪族によって建立されたと考えられており、見野古墳群と見野廃寺は、古代豪族の勢力や生活を知る上で重要な手がかりを与えてくれるものとして注目を集めています。

発掘調査と指定

見野古墳群は、2005年から2007年にかけて姫路市教育委員会と立命館大学による発掘調査が行われ、その結果が2009年と2011年に報告書として刊行されました。これらの調査により、古墳の構造や規模、埋葬施設の詳細などが明らかになり、見野古墳群の価値が改めて認識されることとなりました。

その後の2006年には1、2、8、9、12、13号墳が姫路市指定史跡に、2019年には3、4、6、10号墳が兵庫県指定史跡に指定され、歴史的価値の高さは広く認められています。

まとめ

見野古墳群は、大型の横穴式石室を持つ古墳や珍しい双室墳、そして「姫路の石舞台」と呼ばれる10号墳など、数々の特徴を持つ貴重な古墳群です。近隣の見野廃寺との関連性も考慮すると、この古墳群は古代の政治・社会構造や文化を知る上で極めて重要な役割を担っていると言えます。今後も継続的な調査研究が期待され、古代日本の歴史解明に大きく貢献することが期待されています。

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